トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

街ロケ当日

朝7時

都内某所

まだ人通りもまばらな駅前に、黒騎士のロケバスが静かに停まっていた

「おはようございます!」

スタッフたちの声が飛び交う

大型特番ということもあり、現場スタッフの数はかなり多い

カメラ班、音声、警備、進行ディレクター

SNS撮影チームまでいる

俺は軽く頭を下げながらバスを降りた

するとすぐ、メイクスタッフが駆け寄ってくる

「佐野さん、軽く髪だけ直しますね!」

「お願いします」

今日は“自然体”がテーマらしく、衣装も比較的ラフだった

黒のジャケットに白T

アクセサリーも最低限

“芸能人です”という雰囲気を消す方向らしい

……いや、消せる訳ないだろとは思うけど

「おはよーございまーす」

後ろから気だるげな声

振り返ると奏だった

大きなパーカーにキャップ

眠そうに欠伸をしている

「お前ほんと起きてる?」

蒼依が笑う

「起きてますって」

「顔死んでる」

「朝苦手なんすよ……」

その横では優朔が既に台本確認を始めていた

相変わらず真面目だ

ディレクターが全員を集める

「はい、では本日の流れ確認します!」

スタッフたちの空気がピリッと締まる

「まず一箇所目は原宿エリア」

「その後、表参道、大学周辺、最後にお台場班へ分かれます」

モニターにルートマップが映る

かなり本格的だ

「街中で自然に一般の方へ声をかけてもらい、会話しながら“いつ気づかれるか”を検証します」

「あと、今回は恋愛質問も多めにいきます!」

その瞬間蒼依がニヤッとこっちを見る

「陽貴さん頼みますよ」

「なんでだよ」

「“理想の彼女像”とか聞かれて、絶対顔に出そうだから」

「出ねぇよ」

「僕のタイプはフライトナースですとか言い出しそう」

奏まで笑う

優朔は小さくため息を吐いた

「お前ら朝から元気だな」

そんなやり取りにスタッフたちも笑っている

現場の空気はかなり和やかだった

でも大型ロケ特有の緊張感も、どこか漂っている

街中ロケは、何が起こるか分からない

ファンの殺到、盗撮、SNS拡散

一般人とのトラブル

特に黒騎士レベルになると、一瞬で人だかりができる

だから警備スタッフもかなり多かった

「では最初、佐野さんと桜庭さんペアからお願いします!」

「了解です」

俺と奏は小型マイクを付けられながら、街中へ出る準備をする

スタッフが最終確認をしていた

「なるべく自然にお願いします」

「あと危険を感じたらすぐ止めますので」

「はい」