気づけば、衣装の袖の中で、爪が皮膚に食い込むほど強く拳を握り締めていた
誇らしかった
世界中の誰よりも格好いい人間が、自分の恋人なんだと叫びたいくらいに
けれど、それと同時に
足元がすっと冷えていくような、どうしようもない恐怖が津波のように押し寄せてきた
もし、あの極限の状態で搬送しているヘリの機内で、患者の容態がさらに急変したら
もし、紗凪がその荒れ狂うプレッシャーの中で傷付いてしまったら
そんな最悪のシナリオが、容赦なく脳裏を過る
かつて、大阪の地で彼女が巻き込まれたあの事故の記憶が、鮮烈なフラッシュバックとなって胸を突き刺す
華やかな芸能界という虚飾の世界で生きている俺とは、生きている次元が違う
紗凪は毎日、文字通り生と死の境界線で人の命と真っ向から向き合っているんだ
いつだって、死と隣り合わせの危険な現場へ飛び込んでいく覚悟を胸に秘めている
頭では理解しているつもりだった
一人の男として、誰よりも彼女の仕事を応援しているつもりだった
でも、実際にこうして一刻を争う血管疾患の戦場へと飛び込んでいく彼女の姿を映像で突きつけられると、胸が潰れるようにきつく締め付けられてしまう
その時、スタジオの音声を遮るようにキャスターの澄んだ声が流れた
『ドクターヘリの迅速な医療チームの救命処置により、患者は現在、高度救命救急センターへと緊急搬送されています』
パッと画面が切り替わり、別のトピックの映像へと移る
紗凪のフライトスーツ姿は、もうどこにも映っていない
それなのに、俺の視線はしばらくの間、色彩を失ったように液晶画面から動かすことができなかった
誇らしかった
世界中の誰よりも格好いい人間が、自分の恋人なんだと叫びたいくらいに
けれど、それと同時に
足元がすっと冷えていくような、どうしようもない恐怖が津波のように押し寄せてきた
もし、あの極限の状態で搬送しているヘリの機内で、患者の容態がさらに急変したら
もし、紗凪がその荒れ狂うプレッシャーの中で傷付いてしまったら
そんな最悪のシナリオが、容赦なく脳裏を過る
かつて、大阪の地で彼女が巻き込まれたあの事故の記憶が、鮮烈なフラッシュバックとなって胸を突き刺す
華やかな芸能界という虚飾の世界で生きている俺とは、生きている次元が違う
紗凪は毎日、文字通り生と死の境界線で人の命と真っ向から向き合っているんだ
いつだって、死と隣り合わせの危険な現場へ飛び込んでいく覚悟を胸に秘めている
頭では理解しているつもりだった
一人の男として、誰よりも彼女の仕事を応援しているつもりだった
でも、実際にこうして一刻を争う血管疾患の戦場へと飛び込んでいく彼女の姿を映像で突きつけられると、胸が潰れるようにきつく締め付けられてしまう
その時、スタジオの音声を遮るようにキャスターの澄んだ声が流れた
『ドクターヘリの迅速な医療チームの救命処置により、患者は現在、高度救命救急センターへと緊急搬送されています』
パッと画面が切り替わり、別のトピックの映像へと移る
紗凪のフライトスーツ姿は、もうどこにも映っていない
それなのに、俺の視線はしばらくの間、色彩を失ったように液晶画面から動かすことができなかった


