トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

大動脈の人工血管置換術を執り行うため、患者さんは心臓血管外科のチームとともに、怒涛の勢いで手術室へと搬送されていった


自動ドアが閉まり、激しい足音が廊下の向こうへと遠ざかっていく

嵐が去った後のような初療室で、私と梓は同時に、胸の奥に溜まっていた熱い息を深く、長く吐き出した

手袋を外すと、手のひらは冷たい汗でびっしりと濡れていた

極限の緊張から解放された身体に、心地よい疲労感がじんわりと染み渡っていく

「お疲れ、紗凪」

梓がスクラブの袖で額の汗を拭いながら、いつもの優しい笑顔を向けてくれる

「梓もお疲れ様」 

そう言って笑い合う

張り詰めていた戦場から、ようやくいつもの日常の空気が戻ってきた気がした

今日も私たちは今日も一つの命を、あちら側の世界から繋ぎ止めることができた

私はフライトスーツのジッパーを少し緩め、窓の外を見上げた

夕日が完全に沈み、東京の街にぽつぽつと明かりが灯り始めている

それぞれの場所で、みんなが必死に戦っている

だから私も、自分の場所でこれからも頑張ろう

そう強く思いながら、私は片付けを始めるために、梓と肩を並べて再び歩き出した