ハザードランプが静かに明滅する助手席のドアを開け、滑り込むように車内へと入る
パタン、とドアが閉まり、外の夜風の音がシャットアウトされた
シートベルトを締めようとした、その瞬間だった
「――っ」
視界がふわりと反転し、気がついた時には優朔の大きな腕の中に閉じ込められていた
センターコンソール越しに身体を乗り出すようにして私を強く抱きしめる優朔の体温
ハットを外した彼のサラサラとした髪が私の首筋に触れて、くすぐったい
車内に広がる彼のいつもの香水の匂いに包まれた途端、張り詰めていた心の糸がぷつりと切れて、堪えていた涙がポロポロと溢れ出してしまった
「優朔……っ、変装、は……? 誰かに見られたら……」
「大丈夫、スモークガラスだから外からは見えないよ
それより、やっと捕まえた」
背中に回された腕に、きゅっと力がこもる
優朔は私の肩に顔を埋めたまま、少しだけ低く、鼻にかかった愛おしそうな声で囁いた
「電話、すごく寂しそうな声してたなのに『おめでとう』なんて、無理して強がるんだもん僕、車の中でずっと胸が痛かったよ」
「だって、優朔の邪魔、したくなかったから……」
「邪魔なわけないでしょ梓は僕の特別な人なんだから」
優朔はゆっくりと身体を離すと、私の両頬を大きな手のひらで優しく包み込んだ
親指の腹で、目元に溜まった涙をそっと 拭う
伊達メガネの奥にある彼の瞳は、夜の車内の微かな光を反射して、信じられないくらい優しくて熱い熱を孕んでいた
「寂しい時は、寂しいって言って我慢して物分かりのいい恋人のフリなんてしなくていいの」
優朔はふっと、意地悪そうで、だけど切ない微笑みを浮かべる
顔を近づけて、吐息がそのまま触れ合うほどの至近距離で、私の耳元に低く囁いた
「『行かないで』って、僕を困らせるくらい寂しがってよ、梓」
その甘い声に、心臓が跳ね上がる
トップアイドルとして世界中から愛されている彼が、今、私の前だけで、私だけのせいで困りたがっている
「……寂しい」
彼の胸元をきゅっと掴みながら、今度は嘘偽りのない本音を溢す
「1ヶ月も会えないなんて、嫌だよ優朔…」
私の小さなワガママを聞いた瞬間、優朔の目元がふにゃりと愛おしそうに歪んだ
「うんよく言えました」
ご褒美をくれるように、優朔の綺麗な唇が私の唇へと、優しく、だけど深く重ねられた
外の喧騒を忘れた暗い車内で、私たちは出発までの限られた時間を惜しむように、何度も何度も唇を確かめ合った
パタン、とドアが閉まり、外の夜風の音がシャットアウトされた
シートベルトを締めようとした、その瞬間だった
「――っ」
視界がふわりと反転し、気がついた時には優朔の大きな腕の中に閉じ込められていた
センターコンソール越しに身体を乗り出すようにして私を強く抱きしめる優朔の体温
ハットを外した彼のサラサラとした髪が私の首筋に触れて、くすぐったい
車内に広がる彼のいつもの香水の匂いに包まれた途端、張り詰めていた心の糸がぷつりと切れて、堪えていた涙がポロポロと溢れ出してしまった
「優朔……っ、変装、は……? 誰かに見られたら……」
「大丈夫、スモークガラスだから外からは見えないよ
それより、やっと捕まえた」
背中に回された腕に、きゅっと力がこもる
優朔は私の肩に顔を埋めたまま、少しだけ低く、鼻にかかった愛おしそうな声で囁いた
「電話、すごく寂しそうな声してたなのに『おめでとう』なんて、無理して強がるんだもん僕、車の中でずっと胸が痛かったよ」
「だって、優朔の邪魔、したくなかったから……」
「邪魔なわけないでしょ梓は僕の特別な人なんだから」
優朔はゆっくりと身体を離すと、私の両頬を大きな手のひらで優しく包み込んだ
親指の腹で、目元に溜まった涙をそっと 拭う
伊達メガネの奥にある彼の瞳は、夜の車内の微かな光を反射して、信じられないくらい優しくて熱い熱を孕んでいた
「寂しい時は、寂しいって言って我慢して物分かりのいい恋人のフリなんてしなくていいの」
優朔はふっと、意地悪そうで、だけど切ない微笑みを浮かべる
顔を近づけて、吐息がそのまま触れ合うほどの至近距離で、私の耳元に低く囁いた
「『行かないで』って、僕を困らせるくらい寂しがってよ、梓」
その甘い声に、心臓が跳ね上がる
トップアイドルとして世界中から愛されている彼が、今、私の前だけで、私だけのせいで困りたがっている
「……寂しい」
彼の胸元をきゅっと掴みながら、今度は嘘偽りのない本音を溢す
「1ヶ月も会えないなんて、嫌だよ優朔…」
私の小さなワガママを聞いた瞬間、優朔の目元がふにゃりと愛おしそうに歪んだ
「うんよく言えました」
ご褒美をくれるように、優朔の綺麗な唇が私の唇へと、優しく、だけど深く重ねられた
外の喧騒を忘れた暗い車内で、私たちは出発までの限られた時間を惜しむように、何度も何度も唇を確かめ合った


