だけど、いつまでも浸っている時間はない。
紗凪が前線で命を繋ぎ止めるなら、
私はここ、ERのベッドサイドで待つ患者さんを絶対に守り抜く。
「フライトチームより無線。
搬送患者は30代男性、交通事故による多発外傷。
意識レベルJCS30、血圧低下中。受け入れ準備をお願いします」
ステーションに響き渡る緊迫した声。
「よし、初療室2番を開けて!
ルート確保の準備と輸血の確認急いで!」
「はいっ!」
私はERを必死に回す。
点滴の準備、モニターのセッティング、医師への器械出し。
頭の中で次々と優先順位を組み立てながら、正確に、一秒の無駄もなく動いていく。
緊迫した空気の中、ヘリの爆音が再び病院の屋上に近づいてくるのが聞こえた。
――ここからは、私たちの仕事だ。
数時間が、まるで数分のように目まぐるしく過ぎていく。
次々と運び込まれる急患の対応に追われ、気がつけば、外の景色はすっかり綺麗な夜の藍色に染まっていた。
「みんな、お疲れ様。今日の急患対応、すごく迅速で良かったよ」
看護師長のその言葉で、ようやく身体の緊張がフッと解ける。
ロッカールームに戻り、汗をかいたスクラブを脱いで私服に着替える。
どっと押し寄せてくる心地いい疲労感を感じながら、スマートフォンに目を落とした。
画面には、優朔からのメッセージ。
『お疲れ様。今日ちゃんとご飯食べられた?』
メッセージと一緒に、可愛いキャラクターのスタンプが送られてきている。
テレビの前の何万人を魅了するトップアイドルが、私の体調を誰よりも心配してくれている。
その事実だけで、昼間の戦いで張り詰めていた心があたたかいお湯に浸かったみたいにじんわりと解けていく。
画面を見つめたまま、自然と口元が緩んでしまう。
『今終わったよ。
忙しかったけど、紗凪と一緒に頑張った。
優朔もお仕事お疲れ様』
そう返信を打ってバッグを肩にかける。
早くあの優しい「彼」の声が聞きたいな。
そんなことを思いながら、私はまだ少し火照る身体のまま、愛しい人が待つ場所へと一歩を踏み出した。
紗凪が前線で命を繋ぎ止めるなら、
私はここ、ERのベッドサイドで待つ患者さんを絶対に守り抜く。
「フライトチームより無線。
搬送患者は30代男性、交通事故による多発外傷。
意識レベルJCS30、血圧低下中。受け入れ準備をお願いします」
ステーションに響き渡る緊迫した声。
「よし、初療室2番を開けて!
ルート確保の準備と輸血の確認急いで!」
「はいっ!」
私はERを必死に回す。
点滴の準備、モニターのセッティング、医師への器械出し。
頭の中で次々と優先順位を組み立てながら、正確に、一秒の無駄もなく動いていく。
緊迫した空気の中、ヘリの爆音が再び病院の屋上に近づいてくるのが聞こえた。
――ここからは、私たちの仕事だ。
数時間が、まるで数分のように目まぐるしく過ぎていく。
次々と運び込まれる急患の対応に追われ、気がつけば、外の景色はすっかり綺麗な夜の藍色に染まっていた。
「みんな、お疲れ様。今日の急患対応、すごく迅速で良かったよ」
看護師長のその言葉で、ようやく身体の緊張がフッと解ける。
ロッカールームに戻り、汗をかいたスクラブを脱いで私服に着替える。
どっと押し寄せてくる心地いい疲労感を感じながら、スマートフォンに目を落とした。
画面には、優朔からのメッセージ。
『お疲れ様。今日ちゃんとご飯食べられた?』
メッセージと一緒に、可愛いキャラクターのスタンプが送られてきている。
テレビの前の何万人を魅了するトップアイドルが、私の体調を誰よりも心配してくれている。
その事実だけで、昼間の戦いで張り詰めていた心があたたかいお湯に浸かったみたいにじんわりと解けていく。
画面を見つめたまま、自然と口元が緩んでしまう。
『今終わったよ。
忙しかったけど、紗凪と一緒に頑張った。
優朔もお仕事お疲れ様』
そう返信を打ってバッグを肩にかける。
早くあの優しい「彼」の声が聞きたいな。
そんなことを思いながら、私はまだ少し火照る身体のまま、愛しい人が待つ場所へと一歩を踏み出した。


