翌朝、カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ますと。
すぐ隣に優朔の穏やかな寝顔があった。
「……ん、梓。おはよう」
まだ眠そうに目を細めながら、優朔は僕の腕の中に引き戻すように私を強く抱きしめる。
「もう起きなきゃ。今日、私、日勤だから……」
「やだ。もっとこうしてたい。
……今日だけ仕事、お休みしちゃえば?」
トップアイドルらしからぬ子供みたいな甘え方に、胸がキュンとする。
でも、「ダメだよ」と笑って彼の額にキスをすると。
優朔は諦めたように「がんばってね」とふにゃりと微笑んで送り出してくれた。
そんな甘い日常から、一歩病院へと足を踏み入れれば。
そこは私の戦場だ。
ロッカールームでスクラブに着替え、救命救急センター(ER)へと向かう。
自動ドアをくぐるとそこにはすでにフライトナースの制服に身を包んだ紗凪の姿があった。
「あ、梓。おはよ」
「おっはよー」
フライトスーツを完璧に着こなす紗凪の姿を見るだけで、昨夜までの甘い余韻は消え去り、私の背筋がシャキッと伸びる。
昨日あったことや、今日入る予定の患者さんのことなど、他愛もない会話を交わしていた、その時だった。
――ピピピピ、ピピピピ!
ER内に、ドクターヘリの出動を要請する重々しいホットコールが鳴り響いた。
「――っ!」
その瞬間、紗凪の顔色が一気に変わった。
さっきまで柔らかく微笑んでいた優しい瞳が、一瞬で鋭く、すべてを見据えるようなプロの顔になる。
「一ノ瀬、行くよ」
「はい!」
ヘリポートへ向かって迷いなく駆け出す紗凪の背中は、いつ見ても圧倒されるほど格好いい。
一分一秒を争う極限の現場で、冷静に、的確に、医師をサポートし患者さんの命を繋ぎ止めるフライトナース。
その姿は、同じ看護師として、一人の女性として、心から尊敬する存在だった。
紗凪たちがヘリで飛び立っていった後、ERのステーションでは、他の若手看護師や他職種のスタッフたちが、遠ざかるヘリの音を聞きながら噂話をしていた。
「やっぱり一ノ瀬さんって凄いよね。あの判断力、神がかってる」
「ドクター陣からの信頼も厚いし、誰も頭が上がらないわけだわ」
「本当、うちのERの誇りだよね」
周囲から聞こえてくる、紗凪さんへの惜しみない称賛の声。
それを耳にした瞬間、私は自分のことのように胸が熱くなって、誇らしい気持ちでいっぱいになった。
ふふん、当たり前でしょ。
私の紗凪は本当に凄いんだから。
誰にも聞こえないように、心の中で自慢げにそう呟く。
すぐ隣に優朔の穏やかな寝顔があった。
「……ん、梓。おはよう」
まだ眠そうに目を細めながら、優朔は僕の腕の中に引き戻すように私を強く抱きしめる。
「もう起きなきゃ。今日、私、日勤だから……」
「やだ。もっとこうしてたい。
……今日だけ仕事、お休みしちゃえば?」
トップアイドルらしからぬ子供みたいな甘え方に、胸がキュンとする。
でも、「ダメだよ」と笑って彼の額にキスをすると。
優朔は諦めたように「がんばってね」とふにゃりと微笑んで送り出してくれた。
そんな甘い日常から、一歩病院へと足を踏み入れれば。
そこは私の戦場だ。
ロッカールームでスクラブに着替え、救命救急センター(ER)へと向かう。
自動ドアをくぐるとそこにはすでにフライトナースの制服に身を包んだ紗凪の姿があった。
「あ、梓。おはよ」
「おっはよー」
フライトスーツを完璧に着こなす紗凪の姿を見るだけで、昨夜までの甘い余韻は消え去り、私の背筋がシャキッと伸びる。
昨日あったことや、今日入る予定の患者さんのことなど、他愛もない会話を交わしていた、その時だった。
――ピピピピ、ピピピピ!
ER内に、ドクターヘリの出動を要請する重々しいホットコールが鳴り響いた。
「――っ!」
その瞬間、紗凪の顔色が一気に変わった。
さっきまで柔らかく微笑んでいた優しい瞳が、一瞬で鋭く、すべてを見据えるようなプロの顔になる。
「一ノ瀬、行くよ」
「はい!」
ヘリポートへ向かって迷いなく駆け出す紗凪の背中は、いつ見ても圧倒されるほど格好いい。
一分一秒を争う極限の現場で、冷静に、的確に、医師をサポートし患者さんの命を繋ぎ止めるフライトナース。
その姿は、同じ看護師として、一人の女性として、心から尊敬する存在だった。
紗凪たちがヘリで飛び立っていった後、ERのステーションでは、他の若手看護師や他職種のスタッフたちが、遠ざかるヘリの音を聞きながら噂話をしていた。
「やっぱり一ノ瀬さんって凄いよね。あの判断力、神がかってる」
「ドクター陣からの信頼も厚いし、誰も頭が上がらないわけだわ」
「本当、うちのERの誇りだよね」
周囲から聞こえてくる、紗凪さんへの惜しみない称賛の声。
それを耳にした瞬間、私は自分のことのように胸が熱くなって、誇らしい気持ちでいっぱいになった。
ふふん、当たり前でしょ。
私の紗凪は本当に凄いんだから。
誰にも聞こえないように、心の中で自慢げにそう呟く。


