「俺さ」
陽貴くんの低くて心地いい声が、私の頭の上から胸の鼓動を通じて直接響いてくる
「この数ヶ月で、痛いほど分かったんだよ」
彼の腕の力が、少しだけ強くなる
「どれだけ仕事が好きでも」
「どれだけアイドルとしての自分が誇らしくても」
「……ボロボロになって帰ってきたときに、迎えてくれる場所がなかったら、何の意味もないって」
背中に回された彼の手の温もりが張り詰めていた私の心を完全に溶かしていく
また新しい涙が、彼のシャツに吸い込まれていった
「俺の帰る場所は、世界中で紗凪だけだから」
もう、ダメだった
声を上げて泣いてしまうのを止められなかった
陽貴くんは、少し困ったように小さく笑いながらも、愛おしくてたまらないというように、何度も、何度も私の頭を優しく撫でてくれた
彼の大きな手が髪に触れるたび、これまでの苦しかった数ヶ月が、すべて救われていくような気がした
テレビの中では、相変わらず華やかなプロポーズ特集が流れている
でも、もう私たちの耳には、その歓声も音楽も一切届いていなかった
両手から溢れるような大きな花束も
凝ったサプライズも、豪華な演出も
ここには何一つない
ただ、薄暗いリビングのソファの上で世界で一番大好きな人にきつく抱きしめられながら、ささやかで、何よりも重い未来の約束を交わした
きっと、私は一生忘れない
彼が奇跡を起こした、あの東京ドームの復活ライブの景色も
誰もが不可能だと言った、黒騎士としての完全復活の瞬間も
ファンの一人として、隣にいる恋人として、胸に刻んだあの興奮を忘れることはない
でも何気ない日常の中で訪れた、この日の、この瞬間のことも
きっと同じくらい……
いや、それ以上に
何年、何十年が経って、お互いにおじいちゃんとおばあちゃんになっても、絶対に忘れない
だって、この日
激しい嵐を一緒に潜り抜けたこの部屋で、私は初めて確信したから
ああ
私、この人と一緒に生きていくんだテレビの光に包まれた静かな部屋で、愛する人の腕の中で、心からそう誓った夜だった
紗凪side end.....
陽貴くんの低くて心地いい声が、私の頭の上から胸の鼓動を通じて直接響いてくる
「この数ヶ月で、痛いほど分かったんだよ」
彼の腕の力が、少しだけ強くなる
「どれだけ仕事が好きでも」
「どれだけアイドルとしての自分が誇らしくても」
「……ボロボロになって帰ってきたときに、迎えてくれる場所がなかったら、何の意味もないって」
背中に回された彼の手の温もりが張り詰めていた私の心を完全に溶かしていく
また新しい涙が、彼のシャツに吸い込まれていった
「俺の帰る場所は、世界中で紗凪だけだから」
もう、ダメだった
声を上げて泣いてしまうのを止められなかった
陽貴くんは、少し困ったように小さく笑いながらも、愛おしくてたまらないというように、何度も、何度も私の頭を優しく撫でてくれた
彼の大きな手が髪に触れるたび、これまでの苦しかった数ヶ月が、すべて救われていくような気がした
テレビの中では、相変わらず華やかなプロポーズ特集が流れている
でも、もう私たちの耳には、その歓声も音楽も一切届いていなかった
両手から溢れるような大きな花束も
凝ったサプライズも、豪華な演出も
ここには何一つない
ただ、薄暗いリビングのソファの上で世界で一番大好きな人にきつく抱きしめられながら、ささやかで、何よりも重い未来の約束を交わした
きっと、私は一生忘れない
彼が奇跡を起こした、あの東京ドームの復活ライブの景色も
誰もが不可能だと言った、黒騎士としての完全復活の瞬間も
ファンの一人として、隣にいる恋人として、胸に刻んだあの興奮を忘れることはない
でも何気ない日常の中で訪れた、この日の、この瞬間のことも
きっと同じくらい……
いや、それ以上に
何年、何十年が経って、お互いにおじいちゃんとおばあちゃんになっても、絶対に忘れない
だって、この日
激しい嵐を一緒に潜り抜けたこの部屋で、私は初めて確信したから
ああ
私、この人と一緒に生きていくんだテレビの光に包まれた静かな部屋で、愛する人の腕の中で、心からそう誓った夜だった
紗凪side end.....


