トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

次の日も、世界は容赦のないスピードで俺たちを消費していく

集合は朝の六時

まだ街が半分眠りについている時間から、新曲のジャケット撮影、分刻みのインタビュー、息をつく暇もない移動

そして、重い大人の事情が飛び交う打ち合わせ

ふと気づけば時計の針は昼をとうに過ぎ、夕方の気配が街を包み込み始めていた

俺たちは本日三件目の現場となる、大型歌番組のスタジオへと滑り込む

身体の芯には、さすがに隠しきれない重い疲労がたまっていた

活動再開を果たしてから、まだわずか2日目

それでも、行く先々の現場で、俺たちは確かに感じていた。冷たい逆風のなかにあっても、ずっと信じて待っていてくれた人がいること

ボロボロの泥沼から、もう一度俺たちの背中を支えてくれた人がいること

その確かな熱量だけが、ボロボロになりかけた俺たちの足を一歩ずつ前へ進ませてくれていた

薄暗い控室で、用意されていたステージ衣装へと袖を通す

全身が映る鏡をじっと見つめた

きらびやかで、どこか戦闘服のようでもある、久しぶりの黒いステージ衣装

肌に馴染むその感覚が、どうしようもなく懐かしかった

蒼依がネクタイの結び目を何度も整えながら、緊張を誤魔化すように白い歯を見せた

「……バラエティとかラジオもきつかったですけど、やっぱ歌番組が一番心臓に悪いっすね」

「分かるよ」

俺も短く応じながら、鏡の中の自分と視線を合わせる

その横で、優朔はいつものように黙り込んだまま、手元の構成資料をじっと見つめていた

けれど、その端正な横顔は少しだけ硬い

言葉にしなくても分かった

俺たちは今、完全に同じ景色を脳裏に描いている

今日このステージで歌うのは、俺たち4人が血と汗を流して作り上げてきた、黒騎士の絶対的な代表曲

本来なら

——ここに、奏がいるはずだった

当たり前のように、俺の隣で、不敵に笑っているはずのあいつが