トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

2週間後――

俺たちは再びスタジオに立っていた

眩しい照明、慌ただしく動くスタッフたち

カメラ、マイク

聞き慣れたはずの音

なのに全部が久しぶりだった

胸の奥が少しだけざわつく

緊張しているのかもしれない

隣を見ると優朔がいる、蒼依もいる

3人並んで座っている

本来ならここにもう一人いるはずだった

その空席を思い浮かべてしまう

でも今日は前を向かなければいけない

奏が帰ってくる場所を守るための、第一歩だから

スタジオ内に音楽が流れ、、司会者がカメラへ向かって笑顔を見せた

「今日のゲストは――」

一瞬間を置く

そして

「戻ってきました!黒騎士の皆さんです!」

拍手が起こる

スタジオ中から歓声が上がった

その瞬間胸が高鳴る

思わず息を飲む

拍手なんて聞き慣れているはずなのに、今日は全然違った

本当に戻って来られたんだと実感する

司会者が続ける

「お帰りなさい!」

その言葉に蒼依が少し照れたように頭を下げる

優朔も静かに会釈し、俺も笑顔を作った

「ただいま戻りました」

拍手がさらに大きくなる

客席にも涙を拭いている人が見えた

司会者が優しく言う

「本当に色々ありましたね」

その言葉に俺たちは頷く

簡単に語れる2か月じゃなかった

長かった。苦しかった。何度も心が折れそうになった

でも今こうしてここにいる

司会者は少し表情を和らげた

「まずは本当にお帰りなさい」

「ファンの皆さんも待っていたと思います」

待っていてくれた人がいる。信じていてくれた人がいる

それだけで十分だった

蒼依がマイクを握る

「正直めちゃくちゃ緊張してます」

スタジオが優しい笑いに包まれる

「でも戻って来られて本当に嬉しいです」

その言葉に拍手が起きた

優朔も続く

「たくさん心配をかけました」

「でもまた前を向いて進んでいきたいと思います」

真っ直ぐな言葉だった

そして司会者が俺を見る

「佐野さんはどうですか?」

マイクを握る。少しだけ深呼吸する

そして客席を見る

たくさんの笑顔、泣いている人もいる

俺は自然と笑った

「帰って来られて嬉しいです」

それが最初に出た言葉だった

「支えてくださった皆さんのおかげです」

「本当にありがとうございます」

頭を下げると。スタジオ中から拍手が響く

その音を聞きながら思う

まだ終わっていない。

その時、、司会者が少し表情を柔らかくした

「桜庭さんも番組をご覧になっているかもしれませんね」

一瞬。スタジオが静かになる

俺たちは顔を見合わせた

そして自然と笑った

「見てると思います」

俺がそう言うと、蒼依が頷く

「奏〜見てるかー!」

とカメラに向かって手を振る

優朔も小さく笑った

スタジオが温かい笑いに包まれる

俺は心の中で思った



ちゃんと戻って来い

お前の席は空けてある

俺たちはいつまでも待ってる

4人で笑えるその日まで