トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

「詳しく……話していただけますか」

社長がどこまでも冷静に、けれどその瞳の奥に鋭い光を宿して静かに促した

女性は、膝の上でぎゅっと握りしめていた拳にさらに力を込め、小さく、けれど確かに頷いた

「はい……」

その返事は、今にも消え入りそうなほど細かく震えていた

ただ事ではないと確信した社長は、手元のスマートフォンを操作し、すぐに黒瀬さんへ連絡を入れた

それから数分と経たないうちに、バタバタと慌ただしい足音が廊下に響き、会議室の扉が勢いよく開く

「何かあったんですか、社長」

入ってきた黒瀬さんの顔には、いつもの寝不足と疲労が色濃く滲んでいた

けれど、部屋を支配している異様な静寂と、見知らぬスーツ姿の女性の姿を目にした瞬間、その表情がサッとプロの鋭いものへと変わった

社長が短く、けれど重みのあるトーンで状況を説明する

「彼女から、今回の件に関する極めて重要な話があるそうだ。黒瀬、そこに座って」

黒瀬さんも一瞬で状況の重大さを察したらしい

いつものぶっきらぼうな態度を引っ込め、すぐに俺たちの並びに席を着いた

広い会議テーブルを囲む、重苦しい陣形

社長。黒瀬さん。俺。優朔。蒼依

そして、すべての鍵を握る、目の前の女性

部屋中の視線が自分に集まるなか、女性はもう一度、胸が張り裂けんばかりの深呼吸をした

そして、俺たちに向かって深々と頭を下げる

「初めまして。……名乗るのが遅くなってしまい、本当に申し訳ありません」

顔を上げた彼女の瞳は、涙で濡れながらも、もう逃げ出さないという強い覚悟に満ちていた

「私、株式会社スターゲートエンターテインメントの第一制作部に所属しております、広報の者です」

その口から飛び出したあまりにも具体的な社名に、俺たちの思考は一瞬で完全にフリーズした

スターゲートエンターテインメント

芸能界に生きる人間なら、その名を知らない者などいない

数多くのミリオンセラーを叩き出し、流行の最先端を走り続ける、俺たち『黒騎士』の、そしてうちの事務所の「最大手のライバル会社」だった

「え……っ」

蒼依が、堪えきれずに驚愕の声を漏らす

優朔も、まるで目の前に突如として敵軍が現れたかのように、これ以上ないほど不機嫌に眉をきつく寄せた

俺の胸の奥でも、ドクンドクンと心臓が早鐘を打ち始める

なぜ、業界の頂点を争うライバル会社の社員が、身を削るようなリスクを冒してまで、活動休止中の俺たちの元へやってきたのか

その理由が、これから明かされる「真実」の恐ろしさを物語っているようで、背筋に冷たい戦慄が走った。