画面に並ぶ重篤な患者さんのデータ
今日も病棟は満床
人工呼吸器管理を必要とする超急性期の患者さんが3件
午前中にはオペ後入室の予定が控えており、さらに朝一番からER(救急外来)との緊迫した連携要請も入っている
今日も一日、目が回るような戦場になるのは火を見るより明らかだった
けれど——
こうして再び、自分の足でこの場所へと戻ってきて、信頼できる頼もしい仲間たちと同じ張り詰めた空気の中で働けることが心の底から嬉しかった
私は胸いっぱいに、深くここの空気を吸い込む
独特の消毒液の匂い
絶え間なく鳴り響く、生を繋ぐためのモニター音
緊迫感を持って慌ただしく動き回るスタッフたちの背中
——あぁ、私の生きる最前線に帰ってきたんだ
そう強く肌で実感した、まさにその瞬間だった
手元のPHSが、鋭く高い電子音を響かせる
『ICU、ERから重症傷病者1件、至急受け入れお願いしまーす!』
「了解、1番ベッド空けて待機します」
私は受話器に向かって即座に応答し、力強く顔を上げた
さっきまで頭を占めていた甘く蕩けるような空気なんて、その一瞬で綺麗さっぱり消えてなくなる
身体が勝手に、完璧なプロの動線で動き出す
自分の中の救命スイッチが、冷徹なまでに完全な仕事モードへと切り替わるのを確かに感じた
ストレッチャーの準備を始める私を横目で見ながら、梓がふっと、誇らしげな優しい笑みを浮かべた
「……ほんと、いつ見てもさ」
「ん?」
「仕事モードに入った時の紗凪って、めちゃくちゃ格好いいよね」
「なに、急に真面目な顔して」
「いや、別に? ただの独り言」
そう言って、梓は何事もなかったかのようにカルテへと視線を戻した
私は少しだけ頬を染めながらも、親友からの最高の褒め言葉に、小さく笑みを返した
——誰かの命を繋ぎ止めるための、過酷な仕事も
一人の男の腕の中で、愛おしさに流される甘い恋愛も
どっちの手も離さない
どっちも死に物狂いで全力で生き抜く
きっとこれこそが、今の私を形作る、本物の“一ノ瀬紗凪”なんだ
今日も病棟は満床
人工呼吸器管理を必要とする超急性期の患者さんが3件
午前中にはオペ後入室の予定が控えており、さらに朝一番からER(救急外来)との緊迫した連携要請も入っている
今日も一日、目が回るような戦場になるのは火を見るより明らかだった
けれど——
こうして再び、自分の足でこの場所へと戻ってきて、信頼できる頼もしい仲間たちと同じ張り詰めた空気の中で働けることが心の底から嬉しかった
私は胸いっぱいに、深くここの空気を吸い込む
独特の消毒液の匂い
絶え間なく鳴り響く、生を繋ぐためのモニター音
緊迫感を持って慌ただしく動き回るスタッフたちの背中
——あぁ、私の生きる最前線に帰ってきたんだ
そう強く肌で実感した、まさにその瞬間だった
手元のPHSが、鋭く高い電子音を響かせる
『ICU、ERから重症傷病者1件、至急受け入れお願いしまーす!』
「了解、1番ベッド空けて待機します」
私は受話器に向かって即座に応答し、力強く顔を上げた
さっきまで頭を占めていた甘く蕩けるような空気なんて、その一瞬で綺麗さっぱり消えてなくなる
身体が勝手に、完璧なプロの動線で動き出す
自分の中の救命スイッチが、冷徹なまでに完全な仕事モードへと切り替わるのを確かに感じた
ストレッチャーの準備を始める私を横目で見ながら、梓がふっと、誇らしげな優しい笑みを浮かべた
「……ほんと、いつ見てもさ」
「ん?」
「仕事モードに入った時の紗凪って、めちゃくちゃ格好いいよね」
「なに、急に真面目な顔して」
「いや、別に? ただの独り言」
そう言って、梓は何事もなかったかのようにカルテへと視線を戻した
私は少しだけ頬を染めながらも、親友からの最高の褒め言葉に、小さく笑みを返した
——誰かの命を繋ぎ止めるための、過酷な仕事も
一人の男の腕の中で、愛おしさに流される甘い恋愛も
どっちの手も離さない
どっちも死に物狂いで全力で生き抜く
きっとこれこそが、今の私を形作る、本物の“一ノ瀬紗凪”なんだ


