桜花転生奇譚

玲は、僕がひーちゃんのことが好きなのを知っている。逆に、僕は玲の好きな人を知っている。

「……諦めなくて、いいんじゃないか?ひかりは、多分……好きな人、いないぞ」

「えっ」

それは、初耳だ。僕は、ひーちゃんはもえちゃんのことが好きなんだと思ってた。よく研究所に遊びに行くし、もえちゃんにだけたまに贈り物だってする。だから、僕は諦めようとした。

「……ひかりは萌歌が好きだと思うよな。でも、あれは恋愛感情というよりも、親友って感じだな。たまにひかりが萌歌に贈り物をするのも、普段萌歌にお世話になっているから、だったりする。前に、ひかりがそう言っていた」

台所にいるひーちゃんに聞こえないくらいの声で言った。

「……僕、何も言ってないんだけど」

「お前の言いそうなことなんて、分かる。何年一緒にいると思ってんだ。幼なじみだろ?」

玲は、ジトッとした目で僕を見る。

「……だから、諦めるのは早いんじゃないか?」

玲の言葉に、僕は「うん、そうだね」と呟いた。