星屑の唄【期間限定公開】



「ほら、期末近いからさ」


 わずかに顎を上げながら言うと、ふたりは納得したように肩を竦めた。その目には大変だね、という同情心が込められている。


「あーね。心星の親両方とも厳しいもんね」

「そー。ほんとやんなる」

「んじゃ心星はまた今度遊ぼ! 絶対だかんね!!」

「うん。楽しんどいで」


 ふたりはこういうことに理解があるから助かる。付き合い悪いよねって不満をぶつけてこないし、他人の悪口も言わない。みんな遊びたいときに遊んで無理そうなら普通に断るのだ。制汗剤並にさっぱりとしていると思う。でもだからこそそんなふたりのいいところに甘えているみたいで申し訳なさがある。

 それでも校門でふたりと別れたところでほっとしてしまった。嘘がバレなかったことに対する安堵だ。

 私の両親が厳しいのも期末テストまで1ヶ月切ったことも本当。でも今日は違う。友だちより音楽を優先する私はいつかきっと罰が当たるだろうね。


      ★


「ただいまー……」


 マンションの4階。特別高くも低くもない自宅に帰り、ガチャッと鍵を閉めた。「おかえり」とは返ってなかった。当然だ。父も母も仕事に行っているのだから。それでもただいまと言うのは防犯対策だ。家に人がいるように見せかけることで誘拐されたり襲われたりするリスクが減るらしい。世界から治安が良いとされている日本だが、日に日に物騒になっている気がする。