星屑の唄【期間限定公開】

 まばらな拍手を聞き顔を上げたとき、道路の向こう側に、月城がいるのが見えた。

 こちらを見ているはずなのに近づいてくる気配はなく、ただじっとそこに立っている。

 今の私たちの距離はそれくらいがちょうどいい。

 まだお互い傷は癒えていないだろうから。


 ステラはもういない。

 あるのはただ、私の身ひとつ。

 私はほかの人に嫉妬するし泣くし落ち込むし恋だってする。未だに月城のことも好き。

 こんな私では、ステラとは比べものにもならないだろう。


 でも、もしさ。

「ステラ」じゃなくて「夜野心星」もいいって思えたら、また、声かけてきてよ。

 私はずっと、音を紡いでるから。


「それでは聴いてください」


 私は太陽になれない。すべての人を照らせるほど、私のひかりは強くないから。

 私は月にもなれない。太陽から照らしてもらえるほど、私はできた存在じゃないから。

 それでも、ぶつかって散ったきらめきを集めることはできる。

 マイクに、掬いあげた音たちを乗せる。


「――『星屑の唄』」




〈了〉