星屑の唄【期間限定公開】

 私は太陽になれない。すべての人を照らせるほど、私のひかりは強くないから。

 私は月にもなれない。太陽から照らしてもらえるほど、私はできた存在じゃないから。

 そんな私になれるのは――。


      ★


「初めましてー! 夜野心星といいます! 心に星と書いて"このね"と読みます!」


 日曜日の昼下がり。

 人がたくさん往来する交差点に向かって声を張り上げる。声量に負けたのか、マイクが少し揺れた。手に持っているのは、バイトして貯めたお金で買った空色のギター。まだまだ不慣れで笑ってしまうほどだけれど、お守りとして持ってきた。


 ステラが消えてから2年が経ち、私は大学1年生になった。

 親の望む大学に合格した特典として一人暮らしが始まり、勉強の傍らバイトをし、残りの時間はすべて音に捧げる日々を送っている。

 本気でシンガーソングライターになりたいのなら親の反対を押し切って音楽大学に進学するべきだという意見もわかる。けれど、もしそうしていれば一人暮らしはできるだろうが学費は全額負担することになり、とてもじゃないがまともに音を紡ぐ時間をとれなかっただろう。そんなの本末転倒もいいところだ。

 私は流れ星のように短命な存在ではなく、永遠を思わせるほど絶対的な星のような存在になりたい。

 だから利用できるものならなんでも利用する。少しでも永く音といるために。