星屑の唄【期間限定公開】

 夜野とこんなふうに過ごすようになって早数日。未だに夢なんじゃないかと疑うときがある。

 俺の視線に気づいた夜野が顔を上げ、「なに?」と口を動かした。さすがに馬鹿正直に夜野を観察してたなんて言えるわけないので、代わりに気になっていたことを尋ねる。


「……曲ってどんなふうに思いつくのかなって」

「どんな、か」


 夜野は口元に手を当て少し考える素振りを見せた後、おもむろに俺を見つめた。


「どうしても中二病みたいな言い方しか思いつかないんだけど、月城は自分がどんな風に息してるのかちゃんと考えたことある?」

「ない、けど」

「私にとってはそれに近いんだよね。生まれたときから当たり前に備わってるものだから、どんなふうにって訊かれてもわかんない」


 お手上げと言わんばかりに瞳を閉じて手をぱっと開き、ストローからミルクティーを吸いあげて飲んだ。ややあって口を開く。


「ただ……、音が降る感覚はあるかな」

「音?」


 訊き返すとこくんと頷き、続けた。


「雨みたいにぽつぽつ降ってくるときもあれば、矢みたいに降ってくるときもあるし、たまに内からふつふつ湧き上がってくることもある。その時々で変わってくるからなんとも言えないんだけど」