試験監督の声を合図に、一斉にシャーペンが机に置かれた。その音がパラパラと雨粒のようだった。
ふーっと息を吐くと、疲労感がドッと押し寄せてきた。
いつも通りできた、と思いたい。
そうでなければ両親に怒られてしまう。いや、それだけならまだいい。強制的に塾にでも入れられようものならステラとしての時間が減ってしまう。ただでさえこの2週間まともに吐き出せなくて苦しかったというのに。これ以上創作の時間を削られたら死ねと言われているようなものだ。
ぐいーっと伸びをすると、少しだけ身体が軽くなった気がしたけれど、まだまだ重い。積もりに積もった音たちがずっしりと心にいるからだ。ちらりと梨々花と美波を盗み見ると、梨々花は「疲れた」の文字を体現するように机に突っ伏していて、美波は眠そうに欠伸をしていた。
今日はふたりとも部活があるから放課後遊びに誘われることはないだろう。つまり、久々に思いっきり音を吐き出せるということ。
早速帰ったら作業に取り掛かろうとそわそわしながら帰り支度をしていると、とん、と机に手を置かれた。そして低く澄んだ声が耳に届く。
「夜野」
「っえ、なに?」
私に声を掛けてきたのは月城。
同じクラスで同じ委員会に属している男の子だ。確か下の名前は侑久だった気がする。
同じ委員会とはいえ、彼から話しかけられることはほとんどないので、つい驚いてしまった。



