好きになった人は、みんなのアイドルで 4

「悠太郎、迷惑ばっかりかけてるでしょ」
お姉さんが笑って聞いてくる。

「そんなことないです!」
「助けてもらってばっかりで」

「夜、悠太郎いないところで悪口パーティーしよ」
「なんでも言って大丈夫だから」

「お母さんも参加していい?」

お茶目なお母さんとお姉さんで楽しい。

「……まじでやめて」
「悪口とかないよね?あったら俺に直接言って」
「まじで、直すから、なんでも言って」

悠太郎くんが真剣に言ってくるから笑ってしまう。

「……強いて言うなら」

「「「なに?」」」
3人の声が被って、親子だなって思う。

「……頑張りすぎちゃうとこ、直してほしい」
「好きだけど、心配だから」

恥ずかしくて声が小さくなってしまう。

「期待して損した、惚気じゃん」
「夜は本気のやつ、頼むよ」
お姉さんが目配せしてくる。

「……無いです、ほんとに」
「たぶん、悠太郎くんの方が私に不満あると思います」

「無いよ、全部大好き」
悠太郎くんが食い気味で答えてから、しまった、みたいな顔をする。

お母さんとお姉さんがニヤニヤして悠太郎くんを見る。

「俺が紬のことめっちゃ好きなの!知ってるでしょ!」
ヤケクソになった悠太郎くんが大きな声を出す。

「ほんと、つむぎさんに出会えて良かった」
「ありがとうね」
悠太郎くんのお母さんが目を見て言ってくれる。

「そんな、ほんとに、私の方がありがとうございます」
「悠太郎くんの好きなとこ、全部このお家のおかげです」
「悠太郎くんに出会わせてくれて、ありがとうございます」

本当にそう思った。
悠太郎くんを産んでくれて。
このお家で育ててくれて。
東京の大学に送り出してくれて。

そうじゃないと、出会えなかった。