好きになった人は、みんなのアイドルで 4

「着いたよ……って、1回来てるもんね」
悠太郎くんが笑うけど、私は全然笑えない。
心臓が口から出てきそう。

「行くよ?」
悠太郎くんが顔を覗き込んでくる。
小さく頷くと、悠太郎くんが玄関の扉を開ける。

「ただいま、紬連れてきたよ」

ダダダッと足音が聞こえる。
「つむぎちゃん!いらっしゃい!」
「結衣です!悠太郎の姉です!」

「はじめまして、朝比奈紬です」
「……悠太郎くんとお付き合いさせてもらっています」
「泊まらせていただいてありがとうございます」
「よろしくお願いします……!」

「会えるの楽しみにしてた」
「上がって」

笑顔が、悠太郎くんとそっくり。

「ありがとうございます」
「お邪魔します」

「つむぎちゃん、いらっしゃい」
「遠いところお疲れ様、ありがとうね」
「紅茶で良かった?」
悠太郎くんのお母さんが声を掛けてくれる。

「はい、ありがとうございます」
テーブルを見ると、色とりどりの焼き菓子。
「わあ、すごい」
思わず声が漏れた。

「楽しみで作りすぎちゃったの、食べて」
悠太郎くんのお母さんが笑う。

この間は必死で気付かなかったけど、
悠太郎くんの笑った顔とそっくりだった。

「先日は急に押し掛けてすみませんでした」
「今回は泊まらせていただいてありがとうございます」
「よろしくお願いします」

「いいのいいの。この間は本当にありがとうね」
「悠太郎を助けてくれてありがとう」

「あ、いえ……そんな……」
まっすぐお礼を言われて、なんて返したらいいのか分からない。

「俺の命の恩人だから、ちゃんともてなしてね」
悠太郎くんが笑う。

なんか、もう朝倉家が好きだった。