好きになった人は、みんなのアイドルで 4

「え!飲みやすい!美味しいです!」
悠太郎くんのお母さんお手製の梅酒、
今まで飲んだ梅酒の中で1番美味しい。

「美味しいでしょー、これ特別な時しか飲ませてくれないんだよー」
笑って結衣さんがグイッと飲む。
「ねえ、悠太郎のどこが良かったの?」
「つむぎちゃん、こーんな可愛くてさ、悠太郎にはもったいないよ」

「そんな……悠太郎くんが私にもったいないです」
「かっこよくて、優しくて、まっすぐで、大好きです」
自分で言って恥ずかしくなって梅酒を飲む。
お酒の力を借りてでも、素直な気持ちを話したかった。

「泣き虫で、不器用で、バカ真面目な弟だよ」
「……そんな悠太郎が私も好きだけどね」
「アイドルの夢と同じくらい大切にしたい女の子に出会えて、良かったと思ってる」

「……悠太郎くんが素敵すぎて、ほんとに私でいいのかなって思うこともあるんですけど」
「アイドルの夢まっすぐ追い掛けてる悠太郎くん、眩しくて」
あえて口にしてこなかった気持ちが、ぽろっと出てしまう。
「……私には、そういうの何も無いから」
「ほんとに、かっこよくて」
思わず泣きそうになってしまう。

「分かる、我が弟ながら眩しく見える時あるよ」
「こないだ韓国行った時も、そこまでできるの、かっこいいなって思った」
「……てかさ、つむぎちゃんあのとき来てくれてありがとうね」
「悠太郎、つむぎちゃんが来てくれなかったらボロボロになってたよ」

「後先考えずに、来ちゃったんです」
「会いたくて、というか、会わなくちゃ、って」
「絶対、申し訳ないとか合わせる顔が無いとか、思ってるだろうなって」

「ほんとそのとおり。合わせる顔無いって言ってた」
「悠太郎一人じゃ、立ち直れなかったよ」
「つむぎちゃんがいたから、悠太郎はまた前を向けたよ」
「つむぎちゃんも、私から見たら眩しいよ」

……本当だろうか。私が。

「……悠太郎くんの、支えになりたいんです」
「私がいたら、もっと強くなれるような」
「そういう存在に、なりたいんです」

涙が出てきてしまう。
梅酒、ちょっと飲みすぎたかな。

「十分だよ」
「十分、つむぎちゃんは悠太郎の支えだよ」
「ありがとう」

結衣さんが背中をさすってくれる。
……悠太郎くんと同じだ。

「結衣〜つむぎさんのこと泣かせないで」
悠太郎くんのお母さんが駆け寄ってくる。

「ごめんなさい、私が勝手に」
泣きやみたいのに止まらない。

「プリン食べるか?」
悠太郎くんのお父さんまで。

「気を遣わせてごめんなさい、大丈夫です」
「ちょっと飲みすぎちゃいました」

「悠太郎は、良い子と出会ったな」
「つむぎさん、これからも悠太郎をよろしくね」
悠太郎くんのお父さんが、そう言ってくれる。

……ああもう。
私、早く朝倉紬になりたい。