『……あの、私といてもいいの?ほら、吉村さん人気者だし、友達とたくさん予定があるんじゃ』
弾き語りをし続ける私の横に座ってただただじぃっと見つめる彼女にそう聞くと、わかりやすく眉毛がシュンと下がった。
『……ごめん。そうだよね。立花さん、ひとりでいたいからここにいるのに毎日私がいたら迷惑だ――』
『ち、違うよ!迷惑なんて思ってない。ただ……どうしてかなって』
『立花さんの作る曲に惚れたから、かな』
『ほ、惚れたって……』
『私、誰かが歌っているのを見て泣いたのなんて生まれて初めてなの。音楽でこんなに人の心を動かせるってすごい、立花さんのこともっと知りたいって思ったの。だからここにいる。っていうのは、答えになっているかな?よる』
大きな瞳で真っすぐ私を見てそう言われて、耳まで熱くなったのをよく覚えている。
この時から、私たちは"朝ちゃん"、"よる"と呼び合っている。
それから、私は、彼女がここに来るのを許すにあたって一つだけ条件を出した。
・教室では私とは絶対話さないこと
急に私たちに関わりがあることがバレたら、私の趣味が必然的にバレてしまう可能性もあるし、なんたって、私は他人と話すのが苦手だったから。
朝ちゃんは、良かれと思って私をグループに誘おうとしてくれたけど、断固拒否した。
集団の中に入るのは怖い。本当にみんながみんな心の底から受け入れてくれるとは限らないし。
始めは納得いっていなかった朝ちゃんだけど、最後は私の気持ちを理解してくれて、こうして2年の5月になっても、私たちのここでの活動は誰にもバレていない。
そして、2年になった私たちには、朝ちゃんの提案をきっかけに、もう一つの秘密がある。



