「朝ちゃんは、本当に興味ないの?」
「え、何が?」
「モデルさんとか女優さんとか……私は、柊さんの言葉にちょっと共感しちゃったよ」
「え?共感?」
私の言葉に、朝ちゃんの表情が明らかに変わった。
「……朝ちゃん、社交的で友達たくさんいるし、お顔もものすごく可愛いしスタイルもいいから。初対面の柊さんもあんなに朝ちゃんに夢中だったもん」
言いながら、どんどん胸が苦しくなる。
止めたいのに、言葉が止まらない。
「だから、もし朝ちゃんが本当はそういう世界に行きたいなら、私――」
「よる、それ本気で言ってるの?」
朝ちゃんの声が、ぴしゃりと私を遮った。
その声色に、思わず肩が跳ねる。
朝ちゃんは、さっきまでの泣きそうな顔じゃなかった。
傷ついたみたいに眉を寄せて、まっすぐ私を見ている。
「よるは、私のことそんなふうに見てないって思ってた」
「えっ……」
「私たちは、音楽で、心で繋がってるって思ってた!でも……違ったんだね」
「ち、違……!」
反射的に否定しようとしたのに、喉がうまく動かない。
朝ちゃんは、ぎゅっと唇を噛んでいた。
怒ってる。
でもそれ以上に、傷ついてる。
「違う?じゃあなんで、トワイライト以外の話をするの?」
声が震える。
朝ちゃんの目には、うっすら涙が滲んでいた。
「私は、ずっとトワイライトだけをやっていたい。トワイライトを守りたい。あの人の言葉を聞いて、よるもムカついてくれてると思ってたのに!」
朝ちゃんが、とうとう涙を零した。
朝ちゃんを傷つけたかったわけじゃないのに。
自分が傷ついたことを隠すのに必死で、間違えてしまった。
「……もういい」
朝ちゃんが、小さく呟いた。
「朝ちゃん……?」
「ちょっとひとりになりたいかも」
そう言って、勢いよく立ち上がる。
「待って、朝ちゃん!」
次の瞬間、バタン、と放送室の扉が閉まった。
取り残された放送室で、私は立ち尽くしたまま動けなかった。
その日、朝ちゃんから、連絡は来なかった。
何度もメッセージを打とうと思ったけれど、書いては消してを繰り返して、気付けば朝になってしまっていた。



