心地良い春の陽気。
登り切った太陽から照らされる眩しいほどの暖かな光が、和室を無理矢理洋室に変えたような一室に少しずつ浸透していった。
暖かな光は、閉められたカーテンの隙間から窓を通して滑り込み、部屋の一部を照らしている。
照らすのは、ダブルベッドの上で寝息を立て眠る一人の少女。
艶やかに伸びる赤みがかった黒髪は、横たわる少女の腰当たりまでに達しており、かなりの長さだ。
少女こそがこの部屋の主――堂島 八重(どうじま やえ)。
すやすやと、寝顔があどけない八重はとても綺麗な顔立ちをしていた。
「……ん」
眠りを妨げるように瞼を照らした日差し。
八重は不快そうに眉を顰めて目を開ける。
「…………」
ただ静かに目を開けて、上半身を起こした八重はあくびを一つ欠き、カーペットが敷かれた畳に足を乗せた。
彼女の部屋は、豹柄やパッションピンクなどの派手な小物で溢れかえっている。
テーブルに置かれた多くの香水からはキツイ臭いが漏れて、落ち着いた畳の臭いを掻き消していたのだった。
「……」
八重はおもむろに腰を上げると、部屋に備え付けられた洗面所に移動し、顔を洗い始めた。



