「だって生まれ変わるんだよ?」
神は不思議そうな顔で首をかしげた。
「だけど、小説とかで魔法世界に転生する主人公とかはそのままの身体とかあるよね!?」
「それは転生じゃなくて、転移だね。別の世界にもとの体のまま移ることを転移、転生の場合は新しく生を受けると区別したほうが分かりやすいかな」
私はかなり動揺していた。だって赤ちゃんからやり直すといっても、心はもう十八で意識があるわけで……。
赤ちゃんからやり直すってアレだよね?
オムツ交換とかお風呂に入れてもらったりとか、転生だから精神年齢十八歳のままの私はされるがままってことになるんだよね?
ま、待って。ちょ、待て。
「それは嫌! どんな羞恥プレイ!? 無理無理無理!」
さすがの私も大袈裟に声を荒げて反論する。
だってさ、十八歳の子が母親にオムツを変えてもらう構図なんて誰が望むだろう。いやはたから見たら単純に赤ちゃんと母親の構図なんだけども!
赤ちゃんの姿でも私が耐えられない。羞恥心ですぐにでも死んでしまいそう。
「うーん、どうしよう……あ!」
そんな私に神は考える素振りを見せたあと、なにか思いついたのか表情をぱっと明るくさせた。
「それならキミが高校二年生の時。つまり転生して十七歳の誕生日を迎えるまでボクはキミの記憶を封印しておく。そして来世のキミが十七歳きっかりになった時にもとの記憶を覚醒させる。あ、でもその時のキミの人格や記憶と混ざって少し混乱するかもしれないけど……」
長々と提案を述べてくれた神。
ああ、でもそれなら大丈夫かも。その歳までは今の私の意思が
消えるってことだよね?
来世の私の人格っていっても、魂は今の私のままなんだし少しぐらい混乱しても記憶は整理できると思う。
「あれ、でもなんで十七歳? 十八歳じゃ駄目なの?」
「本当なら別の世界に転移をさせるときって、その人間の年齢を一つ下げて転移させるのが規則なんだ。君の場合はもとの地球に転生という形で赤子からやり直すから歳は下げられないけど、記憶の覚醒時期を十八歳の精神の一つ下、十七歳で記憶を思い出すように調節するんだよ」
えっ、神様に規則も何もあるの……?
でも記憶を封印とか凄いな。神様ってそんなこともできるんだ。
「神様、それじゃあその方向でお願いします」
「うん、分かった。………にしてもキミは優しい人間だね。ボクはキミを死なせた相手なのに、普通ならもっと呪い殺したいとか思っても良いはずだよ」
呪い殺し……って。なにそれおっかねぇ。
神にそんなこと思ってたら天罰とか当たるんじゃないのッ?
「まぁ、未練たらたらで死んじゃったけど、あなたを恨んだりはしないよ」
「どうして?」
どうしてって。
むしろ恨み言を吐かれたら困るのは神様だろうに。
なんでそんなことを聞くんだろ。



