それでも一つだけ報われたことといえば、私が死んだ原因。
原因は、人助けだった。私の中にもわずかだけれど記憶は残っていた。
それは、孤児院の子供たちを連れて公園に遊びに行った時のこと。
初めは滑り台など、遊具を使っていたんだけど。
そのうち子供たちは、孤児院から持ってきていたサッカーボールで遊ぶようになった。
そうしてしばらく経った頃、一人の男の子がボールを追いかけて、公園の外に出てしまったのだ。
男の子は、道路に少し飛び出した辺りでボールを掴まえた。
けれど、その子のすぐ近くまで大型トラックは迫っていて、今にも轢かれそうで……。
『危ない!!』
気がついたら目の前が赤く染まっていて、つんざくような痛みが全身を駆け巡った。
それでも、胸の中で守るように抱き抱えたその子を絶対に離すことはなかった。
『お、ねぇ……ちゃんっ』
その子の大きな泣き声が聞こえて、ああ無事だったんだとほっとした。
それから急に視界が暗くなって、神の土下座空間にやってきたのである。
そう、男の子は守れた。しっかり私の胸の中にいて、最後に無事な顔を見せてくれていた。
どうやらそのトラックが神のミスだったらしい。
本当ならトラックだけが事故を起こして、電柱にぶつかりはするけれど誰も死なない展開になっていたみたいなんだけど。
私を巻き込む形になってしまった。
そして私は死んだ、というわけ。笑いごとじゃあない。
男の子の命を救えたのは良しとして、神によると私の魂は完全に身体から離されたらしい。
つまり、もう元の身体に戻れない。
って、死んだんだからそれはそうだよね。
三十分経ってようやくこの状況を冷静に考えられるようになった私を誰か褒めてほしいくらいだわ。
「……もうウジウジしない。切り替える、よし、切り替えよ」
生き返れないのなら、これ以上絶望しても意味がない。
そして涙を拭い、前を向いたところで。
「お詫びにキミを転生させて!」
「…………て、転生?」
なんと神から転生の切符をもらえることに。
転生……それは流行りの小説であるあるの、神のミスで死んだ主人公が異世界ファンタジーで第二の人生を歩むストーリー。本屋であらすじだけなら読んだことがある。
え、私ファンタジーの世界行くの?
剣と魔法? いやさすがに無理。人を相手にする喧嘩とはわけが違う、出てくるのモンスターでしょ? すぐに倒される。
「あ、魔法世界じゃなくても良いんだよ」
「うえ、なんで考えたことが? もしかして口に出してた?」
「あは、ボクね。相手の心の中を読めるんだ。神だから」
なるほど神だから。私の考えていることが分かると。
プライバシーの侵害とかのレベルの話しじゃないですね。



