「………っ、痛ッ!!」
突然、頭を思い切りハンマーで殴られたような、気の遠くなる痛みが走った。
あまりの激痛に八重は体勢を崩してそのまま倒れ込む。
両手で頭を抱え痛みを和らげようとしても、和らぐどころか徐々に激しさを増していった。
痛みの強さに、次第に声すらも出せなくなってしまう。
いきなり表れた身体の異変に、尋常じゃない恐怖が広がっていく。
(……あたし、このまま死ぬの?)
意識が朦朧とする中、八重は唇を噛みしめて自分の死を考えていた。
日付を越えたから、今日は自分の誕生日である。
そしてこれほどまでに最低で、最悪な誕生日はない。
「――あっ、うっ、あああっ!!」
悲痛な叫びが部屋中に響き渡る。
そして、事切れたように八重はその場でぱたりと倒れ込んでしまった。
一瞬、静寂が辺りを包み込んだ。
時間に例えるとどれほどだろう。不意に、倒れ込んだ八重の指先がピクリと動いた。
「……っ」
痛みを堪えながら意識を取り戻した八重はら息を吐いて顔を気だるそうに顰める。
八重は黙り込んだままゆっくりと体を起こした。
開かれた瞳の奥には、戸惑いと驚き、そして妙な絶望の雰囲気が漂っていて。
八重はおぼつかない足取りでふらふらとドレッサーの鏡に近づいた。
「……」
暗く沈んだ自分の部屋。濃い闇に月明かりだけが窓から淡く降り注ぎ、八重の顔を優しく照らす。
鏡に映った八重の顔は、化粧の厚塗りが剥がれ落ち、正直見れたものじゃない。
しかし八重はじいっと、そんな自分の顔を食い入るように見つめた。
そして、ゆっくりと唇を開く。
「――随分と、やりたい放題やってくれたね、堂島 八重」



