――時刻は23時59分。
気づけば時計の針は両方とも真上を示し初め、1分を切った拍子にピッピッとカウントダウンの音を鳴らす。
八重の耳にはその音すらも届いていないのか、ベッドの上でただ動かずにいる。
「大っ嫌い、あんな妹…‼︎」
八重の心は、黒い靄に包まれた。
自分は悪くないのだと、自分に言い聞かせてはまたどうしようもない惨めさに襲われる。
カチッカチッカチッカチッ。
八重が口を閉ざすと、時計のカウントダウンの音が鮮明に聞こえてくる。
(あたしは悪くないのよ、何も悪くなんてないわっ)
……カチッ。
(どうして誰も分かってくれないのよ?)
………カチッ。
(学校の皆もあの人たちも、舎弟だって皆あの子の味方じゃない)
………カチッ。
(私を見てほしいと望む人たちは、いつも私を見てはくれない。見ているのは、大切にしているのは、いつだって……)
………カチッ。
(愛梨だけ)
カチリ、と。ついに時計の針が『12』を指し示した。
同時に時刻を告げる音が、広い部屋に鳴り響き、大きな音を立てる。
八重は時計の音を鬱陶しく思い、止めようとベッドを降りた。
けれどその時、異変は起こった。



