取り巻き二人に下心があって自分に近づいているのは薄々分かっていた。
しかし実際に本音を聞いてしまった八重は、やるせない気持ちで怒りに変えるしかできなかった。
「あんたらの相手にはあの二人がいるでしょ。さっさとこんな気分悪い場所から帰らせてよ!!」
「まじで何なんだよこの女」
八重の態度の変化に男たちは呆れつつ呆れつつ、なぜかにやり、と口端を吊り上げた。
「でも八重ちゃんの妹ってさぁ……罪のマリアなんだろぉ?」
「……っ!」
強引に手首を掴まれ、八重は後ろを無理矢理向かされる体勢になる。
「なんで罪の話が出てくんのよっ」
意味が分からず、八重は掴まれた手に抗おうとする。
しかし男の強い力が女の腕力で振り払えるはずもなく、手首の痛みは増すばかりだった。
「マリアがいい女って噂はどうなんだろな? こんな化け物みてぇな顔の妹だしよ」
「はあ!? つーか、あんたら何なのよっ!!」
「へへっ、俺らはなぁ」
八重の問いに、男たちはにやりと笑う。
「風丸だ、罪と敵対するチームのな」
その瞬間、八重の背筋は冷たく凍りついた。
罪の敵対チーム、風丸(かぜまる)。妹の愛梨は罪のマリアで、八重はその姉という立場。
つまり……。
「俺たちはよぉ、八重ちゃん。あんたを使って罪をおびき出そうと思ってたんだよぉ」
「けど噂通り姉のほうはお粗末だしなー」
「風丸並みにいい噂は聞かねぇし!」
八重は掴まれた手首に力を込めながら風丸の男達を睨みつける。
……風丸。街で良い噂どころか、悪い噂しか聞かないような暴走族チームだ。
勢力は罪より劣るとはいえ、かなり規模が大きくなり始めている。
「このっ……いつまで触ってんのよ!」
気味悪く自分を見て笑っている風丸の男たちに我慢ならなかった八重は、また抵抗を始めた。
反対の手に持っていた鞄を大きく振り上げたとき、ストラップの端が男の頬をかすめる。
「……ッ!」
「あっ」
後悔したときには遅かった。



