余所者-よそもの-

夕暮れ時。

病院の駐車場を出た車は、私をAnBarへと運んだ。


店の前に車が停車したので、何も言わずともドアに手をかけた。

すると運転席の窓が開いた音に振り返ると、箒を片手にしたサンコンがユキの前に立っている。


「お疲れ様です。寄っていきますか?」

「いいや。仕事があるから夜に寄る」


なんだ、ユキは店に入らないのか。
そう思いながら車を降りると、サンコンと目が合った。


「彼女は?」

「休ませといて」


「わかりました」と返事をすると車は去っていき、私はサンコンに引き連れられる形でAnBarに入った。


マットと電源の抜かれたスタンド看板がエントランスに置かれ、中はしんと静か。
店内は明るく、開店前の準備中のようだ。


「何か食べますか?」


サンコンに聞かれたので、首を横に振った。
起きたときにユキにもらったお弁当がまだ残っている。

「では、2階でお休みください」、と仕入れのお酒を片付るサンコンにお辞儀をして、バーカウンターの裏に回る。