君と歌姫はじめました!

「でも、別に有栖は弾けなくていいんじゃない?」

「え?」

「僕が弾くから」

あまりにも自然に言うものだから、有栖はぽかんとした。

「……全部?」

「全部」

「ギター」

「弾ける」

「ピアノ」

「弾ける」

「ドラムとか?」

「いける」

「……バイオリン」

「まぁ.....練習すれば」

「ずるくない!?」

有栖は思わず叫んだ。

「何そのチート! 神様の贔屓じゃん!」

「そうかな」

「そうだよ!」

零は昔からそうだった。

一緒に遊んでいても、

気付けばなんでも出来るようになっている。

自転車。

水泳。

ゲーム。

勉強。

そして音楽。

最初は遊び半分で触っていたギターも、

いつの間にか普通に弾けるようになっていた。

しかも、本人に自慢する気が一切ないのが余計たちが悪い。

「でもさ」

零は受け取ったクッションを抱え直しながら、穏やかに続ける。