君となら

 俺はもう、どうすればいいのか、何をしたいのか、わからない。どれだけ生きてきたのか、親の顔はどうだったのか、友の声はどうだったのか、何一つ思い出せない。

 いや、思い出したくもない。みんな、みんな、死んだのだから。

 どうやったら、みんなのもとに行けるのか。それだけを考えて、今日もいつものように、崖に登る。

 目を開けると、いつものような、雑草が生えた場所ではなく、さっきと同じ場所にいた。誰かが後ろにいる。そう直感した。

 後ろを振り返ると、一人の少女が僕の下敷きになっている。

「大丈夫!?」

 甲高い大きな声は俺の鼓膜を打ち破った。が、耳が聞こえなくなるわけじゃない。いっそ、聞こえなくなればいいのに。そしたら...

「なんで助けたの?」

「う〜ん、わかんない。気づいたら、体が動いてた、的な?」

 少女は俺に困ったような笑みを浮かべながら、問いに答えた。無駄なことを...

 彼女を立たせて土埃を払ってあげる。さすがに、人の好意は無下にはできない。

 誰もいない、死ねるところを探さなければ...

「どこに行くの?」

 彼女は後ろから俺に問いかけた。行くあてなどない。俺が死ねるところなんて、見つからないのだから。

 俺の無言をどう受け取ったのか、知らないが、少女は

「行くとこないなら、私の家に来る?」