「はいはい、今行きますよー」
鞄を持って窓際に向かう玲央くんが、ちらっと佐伯くんを見た。
その目がほんの少しだけ鋭かったことに、私はまだ気づいていなかった。
*
休み時間になり、私はトイレへ向かうために廊下を歩いていた。
佐伯くん、すごく良い人そうだったな。
まさか私のファンクラブがあるなんて……。
ファンクラブって、何をするんだろう。
やっぱり会報とか……?
なんて考えていると。
目の前で、担任の先生と話している玲央くんの姿があった。
なにやら真剣な顔で頷いている。
話し終わると、私と目が合ったのでドキッとした。
「なに見つめてんだよ?」
「み、見つめてなんかっ――」
いや、いつも見つめてます!
毎日供給ありがとうございます!
「今度撮影で数日休むから……その話してた」
この前ゆずくんが言ってたことを思い出した。
「あ……もしかしてそれって……特集されるやつ?」
「なんで知ってんの?」
「ゆずくんから聞いてっ」
「あいつか……おしゃべり野郎」
イラッとしたような表情をしたので慌てて両手を振った。
「詳しくは知らないよ!?」
人気モデルの朝倉莉子も一緒なのは聞いたけど……
「相変わらず、すごい人気だねっ」
すると玲央くんが、ぼそっと呟く。
「……そっちもだろ」
「え?」
「いや別に」



