私のかみさま(改訂版)

そっけない態度を取られても
気にも留めずに、そばにやってきて
作業する私の手元を覗き込む、その人。



「危なっかしい手付きだな
そんなんじゃ、今に怪我するぞ」

「大丈夫で…、っつ!」



言われた矢先に
振り上げた金槌が釘ではなく
その横の私の人差し指にヒットする。



「~~~っ」

「ほらみろ」



金槌を持ったまま、固まる私に
言わんこっちゃないと
呆れたようなため息を漏らすと
その人は、私の前に腰を下ろした。



「随分派手に打ち付けたな」



言いながら、私の手を取ると



「ほら、ないよりましだろ」



袋から取り出した保冷剤を
ハンカチにくるんで
強打した指先に当ててくれる。



「…」



……口では色々ごねながらも
手付きは丁寧で優しくて
なんだかとても、くすぐったい。



「……あ、りがとう…ございます」

「ん」



小さく笑って頷くと
持っていたその袋を押し付けて

その人は私から少し離れた所に座って
ぼんやりと、遠くの景色を眺め始めた。



………変な人。



昨日も、一昨日も
ほとんどずっと、ここにいて
あんな風に、ぼんやり町を眺めてた。


こんな風に、わざわざ
自分にじゃなく、私に飲み物を買ってきて。


定職に就いているわけでもなさそうなのに
食べ物や着る物に困っている様子もない。


ホームレスじゃないなら一体…



「…」



……考えたって、仕方ないか。


どうせ、この人とは
社を直すまでの短い付き合い。

知った所で、何の意味もない。


今は、やるべきことをこなすだけ。



気を取り直して、私は作業を再開した。