私のかみさま(改訂版)

一度、吐き出してしまったら
どんどん、心の中にたまっていた感情(もの)が
あふれてくる。



「苦しくて、痛くて、辛くて、暗い」



言葉にするほどに、その感情が重みを増して
押しつぶされてしまいそうになる。

いてもたってもいられなくて
泣きわめいて、暴れてしまいそうになる。



「そんな毎日が死ぬまで続くなら…
……もういっそ、今、終わらせたい」



たかぶる気持ちを
抑えるように握り締めた左手首。

布越しに伝わる痛みが
なんとか私の理性を保(たも)たせる。



「…」



そのまま、口を閉ざした私に
少し、間を置いた後




「――よし。なら、こうしよう」




その人は、妙案を思い付いたように手を叩き
にっと唇の両端をつり上げ、言った。



「お前には俺の社を直してもらう」

「……は?」



突然何を言い出すのだろう。この人は。


社を?
私に修理しろと?
なぜ?


いや、確かに
このままにしておくには忍びないから
直した方がいいとは思うけど


だからって、なんで私に?


いきなり、わけの分からないこと言ってきた
その人に、心の中で
疑問と戸惑いの言葉が行き交う。


けど、次の瞬間


その人は、さらに私を戸惑わせる言葉を口にした。



「その代わり」



なんてことのないように
むしろ、面白がるかのように



「社が直ったその時には、俺が殺してやる」



笑みを浮かべて、そう言った。







正体不明の不審者との
不思議な日々は、ここから始まった。