気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -



「終わったぁぁ!」

「1日長かったね〜」

「空きコマなしはしんどすぎ……」


今日は教授の都合で講義時間の変更が重なり、朝から夕方までほとんど休みなしだった。

教育原理。

教育心理学。

教育課程論。

聞いているだけで眠くなるような単語ばかり。

半日以上、教育について考え続けた私たちは、講義棟を出た瞬間、大きく伸びをした。


「こんなに頑張ったのに」

「雨なんて有り得ないんだけど……」


空も私たちと同じ気分なのか、ぽつり、と雨が落ちてくる。

最近はこんな天気ばかりだ。

もうすぐ梅雨。

晴れていたと思ったら曇って、曇ったと思ったら雨が降る。

そんな季節。


「私バイトあるから行くね」

「傘は?」

「折り畳み持ってる」

「そっか。気をつけてね」

「茉桜もね。また明日!」


奈瑠は手を振りながら駅の方へ走っていった。

私も帰ろうかな。

そう思った、その時。

ゴロゴロ、と遠くで雷が鳴る。

嫌な予感がした。

そして、その予感は見事に当たった。

数分後。

さっきまでの雨が嘘みたいな勢いで、空がひっくり返ったみたいな雨が降り始めた。


「嘘でしょ……」


私は慌てて近くのラウンジへ駆け込む。

傘、持ってきてない。

窓の外を叩きつける雨を見ながら、思わずため息をついた。