気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -




朝、カーテンを開けた瞬間、思わず声が漏れた。


「わぁ……!」


雲ひとつない青空。

窓を開けると、少しだけひんやりした風が部屋に入り込んできた。


ゴールデンウィークが終わって数日。

春と初夏の間みたいな、気持ちのいい朝だ。

こういう日は、洗濯に限る。

私はベッドから飛び起きると、シーツを剥がして、枕カバーを外して、洗濯かごにぽいぽい放り込んでいく。

ついでに部屋着も。

昨日着ていたパーカーも。

洗えるものは全部洗いたい気分。


「よし、やるぞ!」


両手いっぱいの洗濯物を抱えて、1階へ降りる。

……と。


「あ」


洗濯機の前に、先客がいた。

想くん。

黒いTシャツにスウェット姿。

後ろ髪は寝癖が付いていてピョンピョンはねている。

片手に洗剤、もう片手に柔軟剤。

真剣な顔で、洗濯表示を見ている。

なんか……、研究してるみたい。

私に気付いた想くんが、ちらっとこっちを見る。


「おはよ」

「……おはよう」


それから、私の抱えている洗濯物を見て、少し眉をひそめた。


「…量多くね?」

「天気いいから!」

「洗いすぎ」

「こういう日に洗わないと損した気分になるの」

「意味分かんない」


そう言いながらも、想くんは洗濯機の残り時間を確認して、


「あと15分」


と言った。


「え?」

「俺の終わったら使えば」

「あ、ありがとう」


意外。

そう思ったけれど、口には出さない。

洗濯機に腰掛けて、ぼーっと窓の外を見る想くん。

静かな朝。

洗剤の匂いと、窓から入る風。

洗濯日和って、なんだかちょっと幸せだ。