気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -




3人の視線が一斉に集まる。


「昨日、実は大学で元彼の湊都に会って」


希遥さんの表情が変わった。

私は昨日の出来事を最初から話した。

湊都に呼び止められたこと。

帰ろうとしても離れてくれなかったこと。

そこへ想くんが来てくれたこと。

そして。


「想くんが……付き合ってるって」

「えぇ!?」


希遥さんが思わず大きな声を上げる。


「だから今日、大学中に噂が広まっちゃって」

「なるほどね……」


柊弥さんは小さく頷いた。


「そういうことだったのか」

「ごめん」


私が頭を下げると、


「何で茉桜が謝るんだ」


想くんが静かに口を開く。


「嘘ついたの俺だし」

「でも……」

「結果的にはあれしかなかった」


その言葉に、私は何も返せなくなる。

柊弥さんは腕を組みながら少し考え込んだ。


「問題はこれからだね」

「うん」

「もし今、『付き合ってません』って否定して、その話が湊都の耳に入ったら」


その先は誰も言わなかった。

でも、全員分かっていた。

また湊都が近付いてくる。

その可能性が、一気に高くなる。

静まり返った食卓で、想くんがぽつりと口を開く。


「……しばらくは、このままでいい」