「ただいま」
「おかえりー!」
いつも通り、希遥さんの明るい声がリビングへ響く。
「2人ともおかえり」
柊弥さんもソファから顔を上げて笑った。
「……ただいま」
私の少し後から入ってきた想くんも、短く返事をする。
でも。
そのまま私たちは自然と離れた。
私はソファの端。
想くんはダイニングテーブルで模型を広げる。
同じリビングにいるのに、どこかぎこちない。
「あれ?」
希遥さんがきょとんと首をかしげた。
「何か変じゃない?」
「そう?」
「うん」
希遥さんは私と想くんを交互に見比べる。
「今日は全然しゃべらないじゃん」
「……」
「……」
お互い顔も見られない。
「ねぇ」
希遥さんはそっと柊弥さんの袖を引っ張った。
「どういうこと?」
小さな声で尋ねる。
「喧嘩した?」
「いや……」
柊弥さんは苦笑いを浮かべる。
「それが」
言いかけて、ちらりと私たちを見る。
「……本人たちに聞いた方がいいかな」
「えぇ、気になる」
希遥さんは納得できない様子で頬を膨らませた。
そのまま夕食の準備を始める。
いつもなら他愛もない話で盛り上がる時間なのに、今日はどこか落ち着かない。
食卓へ料理が並び、「いただきます」をしても、その空気は変わらなかった。
しばらく静かな時間が流れたあと、私は箸を置いた。
「……あの」
