広哉がグラスを片手に、雅人を見る。
「実際、元彼と会ってみてどんな感じだった? 大丈夫か?」
少し眉を寄せて、苦笑する。
「さすがに俺、その経験ないかも」
圭祐も頷きながら口を挟む。
「美海の過去の男とか、別にどうでもいいけどさ」
氷を揺らしながら、淡々と言う。
「実際に会うのは嫌かもな」
雅人はグラスを見つめたまま、小さく息を吐いた。
「なんか……ザワザワが収まらない」
ぽつりと零す。
「望月晃も、広瀬貴明も、検索すれば出てくるから、顔も見たし……どれだけ凄い人かも分かったけど」
その瞬間。
——全員の頭に、同じ言葉が浮かぶ。
(検索したんだ……)
微妙な沈黙のあと、凌が吹き出しそうになるのを堪える。
雅人はそんな空気に気づかないまま続けた。
「さっき会ってる時は、思ってたより平気だったんだけど」
少しだけ眉を寄せる。
「今になって、なんか……来てる」
胸の奥がざわついているような声だった。
旬がすぐに反応する。
「俺は絶対無理」
真顔で言い切る。
「歩には会っちゃったけど」
その言葉に、圭祐がすかさず突っ込んだ。
「キスもろくにしてないような、希の元彼な?」
一拍置いて、呆れたように笑う。
「雅人とはレベルが違げーよ」
その瞬間、店の空気が一気に崩れた。
「ははっ」
「確かに」
「比較対象おかしいだろ」
堪えきれず、全員が笑い出す。
旬だけが少し不満そうに眉をひそめた。
「いや、でも普通に嫌だったし」
その真面目な顔が余計におかしくて、笑い声はさらに大きくなった。
笑い声が落ち着いたあと、広哉がふと思い出したように口を開いた。
「で、それ陽には言うの?」
雅人はグラスを指先でゆっくり回しながら、少し考える。
「言わなくてもいいんだけど……」
小さく息を吐く。
「ようちゃん、鋭いから。“なんかあった?”って、たぶんすぐバレると思う」
苦笑混じりに続けた。
「だったら、今日帰ったらちゃんと言った方がいいかな……って」
その声には、隠し事をしたくない気持ちと、心配させたくないという迷いが半分ずつ混ざっていた。
「でも——」
少し視線を落とす。
「余計な心配かけたくないし」
静かに零れた本音。
圭祐がグラスを傾けながら言う。
「まぁ、言っても言わなくても、ザワザワは収まんねえよな」
妙に現実味のある言葉だった。
雅人は苦く笑う。
「……立ち直るの、時間かかるかも」
ぽつりと漏れた弱音に、その場の空気が少しだけ変わる。
凌が目を丸くした。
「え、こんな弱気な雅人、初めて見た」
本気で驚いたような声だった。
いつもどこか余裕があって、感情を乱さない雅人が、こんなふうに不安を口にすること自体が珍しい。
広哉も、少しだけ優しい顔になる。
「まぁ……相手が相手だしな」
静かにそう言った。
雅人は何も返さず、グラスに視線を落とす。
氷が、カランと小さく鳴った。
「実際、元彼と会ってみてどんな感じだった? 大丈夫か?」
少し眉を寄せて、苦笑する。
「さすがに俺、その経験ないかも」
圭祐も頷きながら口を挟む。
「美海の過去の男とか、別にどうでもいいけどさ」
氷を揺らしながら、淡々と言う。
「実際に会うのは嫌かもな」
雅人はグラスを見つめたまま、小さく息を吐いた。
「なんか……ザワザワが収まらない」
ぽつりと零す。
「望月晃も、広瀬貴明も、検索すれば出てくるから、顔も見たし……どれだけ凄い人かも分かったけど」
その瞬間。
——全員の頭に、同じ言葉が浮かぶ。
(検索したんだ……)
微妙な沈黙のあと、凌が吹き出しそうになるのを堪える。
雅人はそんな空気に気づかないまま続けた。
「さっき会ってる時は、思ってたより平気だったんだけど」
少しだけ眉を寄せる。
「今になって、なんか……来てる」
胸の奥がざわついているような声だった。
旬がすぐに反応する。
「俺は絶対無理」
真顔で言い切る。
「歩には会っちゃったけど」
その言葉に、圭祐がすかさず突っ込んだ。
「キスもろくにしてないような、希の元彼な?」
一拍置いて、呆れたように笑う。
「雅人とはレベルが違げーよ」
その瞬間、店の空気が一気に崩れた。
「ははっ」
「確かに」
「比較対象おかしいだろ」
堪えきれず、全員が笑い出す。
旬だけが少し不満そうに眉をひそめた。
「いや、でも普通に嫌だったし」
その真面目な顔が余計におかしくて、笑い声はさらに大きくなった。
笑い声が落ち着いたあと、広哉がふと思い出したように口を開いた。
「で、それ陽には言うの?」
雅人はグラスを指先でゆっくり回しながら、少し考える。
「言わなくてもいいんだけど……」
小さく息を吐く。
「ようちゃん、鋭いから。“なんかあった?”って、たぶんすぐバレると思う」
苦笑混じりに続けた。
「だったら、今日帰ったらちゃんと言った方がいいかな……って」
その声には、隠し事をしたくない気持ちと、心配させたくないという迷いが半分ずつ混ざっていた。
「でも——」
少し視線を落とす。
「余計な心配かけたくないし」
静かに零れた本音。
圭祐がグラスを傾けながら言う。
「まぁ、言っても言わなくても、ザワザワは収まんねえよな」
妙に現実味のある言葉だった。
雅人は苦く笑う。
「……立ち直るの、時間かかるかも」
ぽつりと漏れた弱音に、その場の空気が少しだけ変わる。
凌が目を丸くした。
「え、こんな弱気な雅人、初めて見た」
本気で驚いたような声だった。
いつもどこか余裕があって、感情を乱さない雅人が、こんなふうに不安を口にすること自体が珍しい。
広哉も、少しだけ優しい顔になる。
「まぁ……相手が相手だしな」
静かにそう言った。
雅人は何も返さず、グラスに視線を落とす。
氷が、カランと小さく鳴った。

