真昼の星空

ある日の夕方。

少しだけ落ち着いた空気のカフェで、雅人は向かいに座る旬と圭祐に、自分の会社のことを話していた。

「……あんまり広げすぎて、目が届かなくなるのも嫌なんだよね」

カップに手を添えたまま、視線を落とす。

旬はすぐに首を横に振った。

「そんなこと言ってる場合じゃないと思うよ」

まっすぐな声だった。

「今でしょ」

雅人は小さく息をつく。

「うーん……」

迷いが、そのまま表情に出ていた。

圭祐が横から口を挟む。

「雅人さ、陽と結婚する気ある?」

唐突な問いに、雅人は少しだけ目を上げる。

「あるよ」

迷いはなかった。

圭祐は軽く頷いて、さらに踏み込む。

「ぶっちゃけ、陽とどっちが稼いでる?」

「聞いたことないけど……」

少し考えて、ふっと笑う。

「多分、ようちゃん相当稼いでる」

その言い方に、二人もつられて笑った。

旬がふと表情を変える。

「雅人、うちの会社来ない?ワインの輸入やったままでいいから。」

「え?」

思わず顔を上げる。

「なんで?」

「雅人みたいな人、なかなかいないから」

さらりと言う。

雅人は苦笑した。

「優秀じゃないよ?会社員も三年しかやってないし」

すると圭祐が肩をすくめる。

「俺、二年で辞めて独立したけど?」

少し笑ってから続ける。

「うちにしろよ。 広哉、大学の時よく誘わなかったな」

雅人はコーヒーに目を落としたまま言う。

「就活のとき、言われてたよ。うちの会社来てくれって。でもまぁ、何やってる会社か知らなかったし」

どこか他人事のように、静かに笑った。

その笑いの奥に、まだ決めきれない何かが残っていた。