ちょうどその時、2人の後ろを広哉と雅人が通りかかった。
ふたりの耳に届いたのは、その言葉だけだった。
陽の片思いが実りますように。
広哉が「あれ、陽じゃね?」と声をかけようとした瞬間、雅人がそっと腕をつかんで制した。
そのまま何事もない顔で、前だけを見て通り過ぎる。
気づかないふりをしながら。
胸の奥が、静かに痛んでいた。
「行こっか」
ユリがそう言って、駅へ向かおうとしたその時だった。
少し先に、見覚えのある二人の後ろ姿が見える。
広哉と雅人だった。
ユリはぱっと顔を上げると、迷いなく大きな声で呼んだ。
「広哉!」
二人が同時に振り返る。
隣で陽が驚いたように目を丸くした。
ユリはそのまま早足で近づき、広哉の腕をつかむ。
「ちょっと、あんたさー。翔とトモのことだけどさー」
「え? おれ?」
事情のわからないまま引っぱられる広哉。
「いいから来て」
そのまま何か怒られているような形で、二人は先へ行ってしまった。
取り残された陽が、戸惑いながら雅人を見る。
「どうしたんだろ」
雅人は肩をすくめ、笑った。
「なんか余計なことしたのかね」
夕方の道に、二人きりの空気が落ちる。
少し先では、広哉が小声で抗議していた。
「なんなんだよ」
ユリは振り向きもせず歩きながら答える。
「ちょっと、あの二人話した方がいいと思って。だからこのまま怒られてるふりして」
「えぇ……」
広哉は呆れながらも付き合って歩く。
「でも、多分雅人ほんとに片思いだよ?」
ユリが足を止めかける。
「そうなの?」
「私、余計なことしちゃった? 確かに好きな人いるって言ってたけど……」
二人そろって後ろを見る。
少し離れた場所で、陽が笑っていた。
雅人の隣で、肩の力を抜いた自然な笑顔で。
あんな顔、雅人にしかしない。
広哉もユリも、同じことを思った。
しばらく黙って見つめたあと、ユリが小さく笑う。
「まあ、今日は二人にしてみよう」
広哉も口元をゆるめる。
俺が余計なことしたって、雅人に怒られることもないし。
そう思いながら、二人は駅へ向かって歩き出した。
ふたりの耳に届いたのは、その言葉だけだった。
陽の片思いが実りますように。
広哉が「あれ、陽じゃね?」と声をかけようとした瞬間、雅人がそっと腕をつかんで制した。
そのまま何事もない顔で、前だけを見て通り過ぎる。
気づかないふりをしながら。
胸の奥が、静かに痛んでいた。
「行こっか」
ユリがそう言って、駅へ向かおうとしたその時だった。
少し先に、見覚えのある二人の後ろ姿が見える。
広哉と雅人だった。
ユリはぱっと顔を上げると、迷いなく大きな声で呼んだ。
「広哉!」
二人が同時に振り返る。
隣で陽が驚いたように目を丸くした。
ユリはそのまま早足で近づき、広哉の腕をつかむ。
「ちょっと、あんたさー。翔とトモのことだけどさー」
「え? おれ?」
事情のわからないまま引っぱられる広哉。
「いいから来て」
そのまま何か怒られているような形で、二人は先へ行ってしまった。
取り残された陽が、戸惑いながら雅人を見る。
「どうしたんだろ」
雅人は肩をすくめ、笑った。
「なんか余計なことしたのかね」
夕方の道に、二人きりの空気が落ちる。
少し先では、広哉が小声で抗議していた。
「なんなんだよ」
ユリは振り向きもせず歩きながら答える。
「ちょっと、あの二人話した方がいいと思って。だからこのまま怒られてるふりして」
「えぇ……」
広哉は呆れながらも付き合って歩く。
「でも、多分雅人ほんとに片思いだよ?」
ユリが足を止めかける。
「そうなの?」
「私、余計なことしちゃった? 確かに好きな人いるって言ってたけど……」
二人そろって後ろを見る。
少し離れた場所で、陽が笑っていた。
雅人の隣で、肩の力を抜いた自然な笑顔で。
あんな顔、雅人にしかしない。
広哉もユリも、同じことを思った。
しばらく黙って見つめたあと、ユリが小さく笑う。
「まあ、今日は二人にしてみよう」
広哉も口元をゆるめる。
俺が余計なことしたって、雅人に怒られることもないし。
そう思いながら、二人は駅へ向かって歩き出した。

