広哉は腕を組み、わざと大げさに首をひねった。
「ここから振り向かせるしかないのか……」
ちらりと雅人を見る。
「作戦会議する?」
その顔には、雅人の恋バナを聞きたくて仕方ないと書いてあった。
雅人は即答する。
「しない」
「なんでだよ」
広哉は肩を落としながらも、すぐにまた食い下がる。
「あんまり一人で抱え込まない方がいいよ?」
少し歩いてから、何でもないふうに聞いた。
「で、雅人はいつから好きだったの?」
雅人は一瞬だけ黙り、それから前を向いたまま答えた。
「入学式」
広哉が足を止めかける。
「そんな前から?」
雅人は照れ隠しのように笑った。
「ミーハーだろ?」
春の講堂。
少し緊張した横顔。
まっすぐ伸びた背筋。
あの日の光景が、今でも鮮明によみがえる。
「接点なくて、話したこともなかったけど」
雅人は続けた。
「リュック事件の時に、お礼言ったりして。やっと挨拶できるようになった」
その声には、長い時間をかけてここまで来た者だけが持つ実感があった。
広哉はしばらく感心したように黙り込み、やがて笑った。
「なんか、お前ちゃんと恋してて羨ましいわ」
軽口のようでいて、本音だった。
雅人は何も言わず、少しだけ照れくさそうに笑った。
「ここから振り向かせるしかないのか……」
ちらりと雅人を見る。
「作戦会議する?」
その顔には、雅人の恋バナを聞きたくて仕方ないと書いてあった。
雅人は即答する。
「しない」
「なんでだよ」
広哉は肩を落としながらも、すぐにまた食い下がる。
「あんまり一人で抱え込まない方がいいよ?」
少し歩いてから、何でもないふうに聞いた。
「で、雅人はいつから好きだったの?」
雅人は一瞬だけ黙り、それから前を向いたまま答えた。
「入学式」
広哉が足を止めかける。
「そんな前から?」
雅人は照れ隠しのように笑った。
「ミーハーだろ?」
春の講堂。
少し緊張した横顔。
まっすぐ伸びた背筋。
あの日の光景が、今でも鮮明によみがえる。
「接点なくて、話したこともなかったけど」
雅人は続けた。
「リュック事件の時に、お礼言ったりして。やっと挨拶できるようになった」
その声には、長い時間をかけてここまで来た者だけが持つ実感があった。
広哉はしばらく感心したように黙り込み、やがて笑った。
「なんか、お前ちゃんと恋してて羨ましいわ」
軽口のようでいて、本音だった。
雅人は何も言わず、少しだけ照れくさそうに笑った。

