あれから、雅人の友人たちと陽の友人たちは、自然と集まるようになっていた。
誰かが声をかけ、誰かが遅れて来て、気づけば人数が増えている。
グループLINEまでできて、授業の空き時間や放課後の予定が次々に流れてくる。
みんな、楽しそうだった。
昼休みの学食でも、いつの間にか顔ぶれがそろう。
長いテーブルをいくつか囲み、それぞれ好きなものを食べながら、あちこちで笑い声が弾んでいた。
雅人もその輪の中にいたが、意識だけは別の場所にある。
誰にも気づかれないように、目だけで陽の姿を探していた。
入口。
券売機の列。
窓際の席。
いつも座るあたり。
いない。
その様子に気づいた広哉が、わざとらしく伸びをしながら口を開く。
「あれ、陽は?」
誰に聞くでもない声だった。
すると隣のテーブルにいた陽の友人が、すぐに顔を上げる。
「なんかまた先輩に捕まってる」
呆れたようにストローをくるくる回した。
「先行っててって言うから来ちゃったけど。たぶん、あれミスコンのスカウトだよ」
「ミスコン?」
広哉が身を乗り出す。
「去年も散々逃げ回ってたから」
その言葉に、周りが笑う。
雅人は箸を持ったまま、何でもない顔をして聞いていた。
「なに? 本人にその気はないの?」
広哉が続ける。
陽の友人は、心底おかしそうに肩をすくめた。
「本気で、ないみたい。女子アナ目指してる子たちが出た方がいいんじゃない?って、心の底から思ってる」
また笑いが起きる。
雅人はその輪の中で静かに笑いながら、胸の奥だけが少しざわついていた。
先輩に捕まっている。
その言葉だけが、妙に引っかかって離れなかった。
今すぐ迎えに行きたい。
そんな衝動に駆られて、雅人は何度もポケットのスマホに触れていた。
LINEしてみようか。
大丈夫?って、ひと言だけでも送ろうか。
けれど、まだそこまでの距離ではない気もする。
気軽に送れるほど近くはなく、送らずにいられるほど遠くもない。
その曖昧な距離が、もどかしかった。
今日はどこかで偶然会えるだろうか。
そんなことばかり考えているうちに、昼休みは終わっていった。
それぞれがトレーを片づけ、午後の講義へ向かって散っていく。
誰かが声をかけ、誰かが遅れて来て、気づけば人数が増えている。
グループLINEまでできて、授業の空き時間や放課後の予定が次々に流れてくる。
みんな、楽しそうだった。
昼休みの学食でも、いつの間にか顔ぶれがそろう。
長いテーブルをいくつか囲み、それぞれ好きなものを食べながら、あちこちで笑い声が弾んでいた。
雅人もその輪の中にいたが、意識だけは別の場所にある。
誰にも気づかれないように、目だけで陽の姿を探していた。
入口。
券売機の列。
窓際の席。
いつも座るあたり。
いない。
その様子に気づいた広哉が、わざとらしく伸びをしながら口を開く。
「あれ、陽は?」
誰に聞くでもない声だった。
すると隣のテーブルにいた陽の友人が、すぐに顔を上げる。
「なんかまた先輩に捕まってる」
呆れたようにストローをくるくる回した。
「先行っててって言うから来ちゃったけど。たぶん、あれミスコンのスカウトだよ」
「ミスコン?」
広哉が身を乗り出す。
「去年も散々逃げ回ってたから」
その言葉に、周りが笑う。
雅人は箸を持ったまま、何でもない顔をして聞いていた。
「なに? 本人にその気はないの?」
広哉が続ける。
陽の友人は、心底おかしそうに肩をすくめた。
「本気で、ないみたい。女子アナ目指してる子たちが出た方がいいんじゃない?って、心の底から思ってる」
また笑いが起きる。
雅人はその輪の中で静かに笑いながら、胸の奥だけが少しざわついていた。
先輩に捕まっている。
その言葉だけが、妙に引っかかって離れなかった。
今すぐ迎えに行きたい。
そんな衝動に駆られて、雅人は何度もポケットのスマホに触れていた。
LINEしてみようか。
大丈夫?って、ひと言だけでも送ろうか。
けれど、まだそこまでの距離ではない気もする。
気軽に送れるほど近くはなく、送らずにいられるほど遠くもない。
その曖昧な距離が、もどかしかった。
今日はどこかで偶然会えるだろうか。
そんなことばかり考えているうちに、昼休みは終わっていった。
それぞれがトレーを片づけ、午後の講義へ向かって散っていく。

