真昼の星空

雅人はしばらくスマホを見つめていた。

暗くなった画面。

そこに。

涙が落ちる。

一滴。

また一滴。

自分でも驚く。

(なんでこんな泣いてるんだろ)

陽に会ってから。

やけに涙もろい。

嬉しくても。

切なくても。

思い出しても。

全部涙になる。

10年。

会えなかった時間。

探してた時間。

諦めかけた時間。

全部。

今。

溶けてる気がする。

雅人が小さく笑う。

「情けないな俺」

でも。

嫌じゃない。

むしろ。

やっと戻ってきた感じがする。

18歳の頃。

陽を好きになった自分。

あの頃の気持ち。

ずっとどこかに残ってた。

今また。

動き出してる。

雅人が小さく呟く。

「ようちゃん…」

声に出すと。

また涙が出た。


「言っちゃった…」

小さく呟く。

誰もいない部屋。

答える人もいない。

ベッドに横になって。

天井を見つめる。

何も考えてないようで。

頭の中はいっぱい。

(また好きになっちゃいそう)

自分で言った言葉が。

何度も戻ってくる。

(じゃなくて)

(もう好きなのか)

考えるのをやめる。

怖いから。

でも。

涙は止まらない。

拭かないでそのままにしていた。

頬を伝って。

枕に染みていく。

10年前。

たくさん泣いた。

雅人を思って。

今日の涙は少し違う。

悲しいだけじゃない。

嬉しいだけでもない。

懐かしさ。

安心。

戸惑い。

全部混ざってる。

陽が目を閉じる。

小さく思う。

(まさくん…)

名前を心の中で呼ぶ。

それだけで。

少し安心する。