あの衝撃的な日から、一年が経った。制服に腕を通すと、鏡の前に立つ。お母さん譲りの癖毛の長い髪をブラシで梳かすと、前髪を整えてうんと頷く。
「よしっ」
一階に下り、キッチンで冷ましていたお弁当箱の蓋を閉めると、カバンに入れる。お店を覗くと、エプロンをつけたお母さんとお父さんがお店の開店準備をしていた。作業台の上には、束になった赤い薔薇が置かれている。
「これ、今日受け取りの花束に使う薔薇?」
私は薔薇をお水揚げしているお母さんに聞く。
「そうよ、全部で三十三本使うの」
薔薇は本数によって花言葉が異なる。全般の意味は『愛情」を意味するけれど、一本だと目ぼれ、あなたしかいない。三本は愛しています。百八本は結婚してください。恋人に送る花として、薔薇はの定番のお花なのだ。
「三十三本は、何か意味あるの?」
私の問いに、お母さんはにっこりと笑って教えてくれる。
「再会よ」
「再会……」
「高校の同級生だった彼女さんと再会して、付き合った記念に私たいんですって」
「へーなんか運命って感じだね。いいな、私もお花もらってみたいな」
「ふふっ、そうね。高校に入学したことだし、花音も好きな人できれば良いわね」
お母さんの言葉に、奥で桶の整理をしていたお父さんの耳がピクッと動く。私が「あっ」と思った時にはもう遅かった。
「お母さん!花音に恋愛は早いよ!」
「もーお父さん、そんなこと言ってどうするのよ。花音は今年でもう十六になるのよ?恋愛の一つや二つぐらい」
「いーや、絶対にダメだ!俺は許さんぞ!」
お父さんは私を心底溺愛している。小学生の頃なんか、私がクラスの男の子にチョコをあげようとしただけで機嫌を拗ねた。中学生の時なんか、男子と二人でいるところを見て、あの男は誰なんだと問い詰められたし。正直、大変ではあるけど、お父さんが私を大切に思ってくれていることは分かっている。だから怒って言い返す気にはなれない。
「行ってきます!」
「あっ、花音!話はまだ終わってないぞ!」
「お父さんごめんね!またあとで!」
追いかけてきそうな勢いのお父さんを、お母さんが捕まえてくれているうちに私は家を出た。
「よしっ」
一階に下り、キッチンで冷ましていたお弁当箱の蓋を閉めると、カバンに入れる。お店を覗くと、エプロンをつけたお母さんとお父さんがお店の開店準備をしていた。作業台の上には、束になった赤い薔薇が置かれている。
「これ、今日受け取りの花束に使う薔薇?」
私は薔薇をお水揚げしているお母さんに聞く。
「そうよ、全部で三十三本使うの」
薔薇は本数によって花言葉が異なる。全般の意味は『愛情」を意味するけれど、一本だと目ぼれ、あなたしかいない。三本は愛しています。百八本は結婚してください。恋人に送る花として、薔薇はの定番のお花なのだ。
「三十三本は、何か意味あるの?」
私の問いに、お母さんはにっこりと笑って教えてくれる。
「再会よ」
「再会……」
「高校の同級生だった彼女さんと再会して、付き合った記念に私たいんですって」
「へーなんか運命って感じだね。いいな、私もお花もらってみたいな」
「ふふっ、そうね。高校に入学したことだし、花音も好きな人できれば良いわね」
お母さんの言葉に、奥で桶の整理をしていたお父さんの耳がピクッと動く。私が「あっ」と思った時にはもう遅かった。
「お母さん!花音に恋愛は早いよ!」
「もーお父さん、そんなこと言ってどうするのよ。花音は今年でもう十六になるのよ?恋愛の一つや二つぐらい」
「いーや、絶対にダメだ!俺は許さんぞ!」
お父さんは私を心底溺愛している。小学生の頃なんか、私がクラスの男の子にチョコをあげようとしただけで機嫌を拗ねた。中学生の時なんか、男子と二人でいるところを見て、あの男は誰なんだと問い詰められたし。正直、大変ではあるけど、お父さんが私を大切に思ってくれていることは分かっている。だから怒って言い返す気にはなれない。
「行ってきます!」
「あっ、花音!話はまだ終わってないぞ!」
「お父さんごめんね!またあとで!」
追いかけてきそうな勢いのお父さんを、お母さんが捕まえてくれているうちに私は家を出た。
