雷鳴に花が咲く

「雷まだー?」



少し離れたところで待っていた雷くんの友達が、雷くんを呼ぶ。



「今行く。じゃあ……」



そう言い、私の目の前を通り過ぎて行こうとする雷くん。


この時は、雷くんがどうしてこんな表情をするのか分からなかった。でも、この気持ちを伝えないのは、絶対に後悔すると思った。


__だから私は、勇気を振り絞ったんだ。



「さっきのダンス……!」



背中越しの私の言葉に、雷くんの足が止まり、振り向く。



「すごくかっこよかったです。言葉じゃ上手く説明できないんですけど、こう、何かがグワッーっと込み上げてきて、それはもう、なんでも出来る力をもらっているようで、とにかく楽しくて!!」



私の言葉に、パチパチと何度か瞬きをして、目を丸くする雷くん。


あれ……伝わってない?



「あっ、えっと……」


どうしてもっと上手く伝えられないんだろう。自分の語源化の出来さなさに呆れるが、それでも諦めずに言葉を紡いだ。



「その……雷くんのダンスは……そう!人を幸せにしてくれる!」



私のその言言葉に、雷くんは大きく目を見開いた。



「……そんな風に言われたのは、初めてだな」
「ん? 今、何か言いましたか?」
「あ、いや……なんでもない」



何か言ったような気がしたけど、聞き間違いかな?


私はぎゅっと両手の拳を握る。



「その……私でも、雷くんのように、あんな風に、誰かの心を動かせますか……?」



雷くんは被っていたキャップを上げ、私を真っ直ぐに見る。



「君にならできると思うよ」


夕暮れ時の太陽が沈んでいく。キラキラと輝く太陽を背に、雷くんは優しく笑ってくれた。遠ざかる雷くんの背中を見ていると、胸の高鳴りが止まらなかった。これが、すべての始まりだったんだ。