雷鳴に花が咲く

全然気づかなかった。



「すいません、わざわざ届けていただいて、ありがとうございます」



私は生徒手帳を受け取る。



「いや、謝ることないから、元はと言えば、俺がぶつかりそうになったのがいけないんだし、届けるのは当然のこと」



雷くんって……一見するとチャラそうな印象を受けるけど、実は真面目で誠実な人なのかな?


そんなことを思っていると、少し離れた広場から音楽が聞こえ始める。



「そろそろ、昼練しないとだね」



昼練……あっ、ダンスのかな。昼練までしてるんだ……すごいな。



「だな、行くか」



そう言い、雷くんは私に背を向ける。


……もうお別れか……。もう少し、話してみたかったな。でも、これで満足しないとだよね。憧れの人と再会できただけじゃなくて、同じ学校に通えて、こうして話すことだってできたんだもの。これ以上を望むのなんて、欲張りすぎている。……そう思うも、名残惜しいものは名残惜しい。



「今日の放課後、時間ある?」
「えっ?」



俯けていた顔を上げると、雷くんが私を見ていた。



「よかったら、ダンス部見に来ない?」
「い、いいんですか?」
「うん」
「いいね、新入生大歓迎。夏美ちゃんも来るでしょ?」



怜夜くんにそう聞かれ、夏美ちゃんはチラリと私を見る。


「花音が行くなら」
「じゃあ決まり」



そう言い、怜夜くんはパチンと手を叩く。


予想だにしなかったお誘いに、私は素直に嬉しくなる。


もしかしたら、また雷くんが踊ってる姿が見られるかもしれない!