柊は腕時計をたしかめた。12時15分。そろそろ見えてくるはずだ。
それから、こちらも慣れているのだろう。澪から言われたことを無視した反論をする。
「確信があるから切ってるんだよ、外すメリットがないだろ。大体、切るのは俺だ。お前はできないだろ。だから俺に合わせろって言ってるんだ」
「だったらアドバイスしたり観察するのは俺でしょ。俺がいないと正しい選択なんてできないに決まってる。だから俺に合わせて」
「なんでそうなるんだ。合わせるのはお前だろ」
「そんなわけないね、お前だ」
お前だ、お前だ、という押し付け合いをしていると現場に到着した。
そこには廃墟という名の通り、壁が崩れかけていて全体にツタが生い茂っている建物があった。
すさんだ色をしていて寒々しく、ここがかつて子供たちの場所だったとは思えない。
周りには規制線が張られており、仲がいいとも悪いとも言えない二人はそれをくぐって中に入った。


