黒髪の隙間から見える鋭い目は、別の方向を向いていた。
「次行くぞ、澪」
澪と呼ばれた青年は、やはり細身だが先程の青年よりも小柄だ。ポケットがたくさんあるパーカーを着ており、ジップは中途半端に開けられていた。
こちらはアイスコーヒーのペットボトルを持っている。
「行きたくないんだけど」
嫌そうに答えた澪に柊が非難の視線を向けると、澪はため息をついた。
「せっかく上の人から勝ち取った貴重な時間でしょ。朝から連続で三つ、処理してきてこっちは疲労がたまってるわけ。休んでもバチは当たらないと思わない?」
「それはそうだと思うが」
澪の言うことは事実だった。朝から三件連続で処理し、どうにか得ることができた休憩時間だ。
――二人は爆発物処理特別班の人間だった。
今朝の犯行声明があってから候補生である二人にも呼び出しがかかったのである。


