爆弾のタイマーとは別の運針音が、ややずれて聞こえる。音の高さにも差があり、こちらのほうが低かった。
柊は聞こえていないのかもしれないが、常に視覚や聴覚を駆使する役目を担っているから分かる。
――気のせいなのか。
そんな考えが浮かんできたが、それにしては引っかかる。
一抹の不安を抱えながら歩き回っていると、足音が耳についたのか苦情が入ってきた。
「落ち着かねえな」
「……そうですか」
「あきたから一休みってことか?」
「いや、そうじゃないけど。……隣、行ってくる」
柊の集中力を削がないようにするため、また、音の正体を突き止めるため、隣室に移ることにした。
ドアを引いて向こう側へ行くと、同じ間取りの部屋が視界の先に現れる。
室内は空っぽだった。
ためしに、コンコンと壁を叩いてみる。先程の部屋と同様に防音壁に近い素材でできた壁から発せられる音に不自然さはなさそうだった。


